2012年3月13日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス<標高309m>

アマン、ガマン、ゲロッポのお話 6


『はじめて見るカエルだな、名前はなんて言うんだ』『わたしアマガエルのアマン』『僕は野ウサギのホロップというんだよろしくな』『わたしたち、ゲロッポさんちに来ているの。水中雨蛙のガマン君も一緒よ』。

『ゲロッポさんちか、僕もよく遊びに行くよ。そう言えば今日は蕎麦(そば)の粉を頂けるんだ』『ホロップさんもお粉のことを知ってるの?』。
その野ウサギはちょっと得意そうに言いました。『僕のお爺さんの時代から、この水車は廻り続けているんだぜ』『じゃあ、ホロップさんはずっとここに住んでいるの?』『僕たちは春から秋までこの水車小屋の近くの家で生活してるのさ』。

『じゃあ、寒い冬はどうするの?』『ここも冬には白い雪でみんなかくれてしまうのさ。だから僕たち家族は、森の奥にある大きな木の根っこの穴に引っ越すんだよ』『根っこの穴?』『そうさ、とっても広くって、暖かいよ』。

『アマン、行ってみたい』と何気なくそう言ってしまいました。『じゃあ、今年の冬は遊びにおいで』。とホロップさんは、お鼻をピクピクと動かしながら言いました。


『お〜い、アマンもガマンも帰っておいで』。とゲロッポ小父さんが呼んでいます。『ホロップさんも一緒に行きましょう』。アマンはそう言うが早いか、ピョンと飛び上がってホロップさんの背中にとび乗りました。

ホロップさんはアマンを落とさないようにピョンピョンと跳ねて、ゲロッポ小父さんの水車小屋にやってきました。入り口の横にある小さな穴からす〜っとはいったのです。

水中雨蛙のガマン君はもう帰っていました。ゲロッポ小父さんはホロップさんを見て優しく言いました。『ホロップ君、ようこそ。お父さんやお母さんはお元気か?』

『はい、有り難うございます、どちらも元気です。今ちょっと出掛けておりますが』『ああ、またあの山の向こうにあるホットゾーン(温地帯)にですかな?』

『そうなんですよ。あそこに行って、岩の底から湧いている温泉に入って腰の治療をしているのです』『そうだったな、君のお父さんは、去年の台風の時腰を痛めたのだったな』。

ホロップさんのお家は、森の中の大きな木のほこら(穴)の中です。去年の秋台風の日、大きな樅(もみ)の木(注:1)に住む「ふくろう」のチャバさんちの子供が木の上にある巣から落ちたのでした。大風に飛ばされたのです。

ホロップさんのお父さんは、ものすごい風と雨の中を子供を助けに飛び出していったのです。その時でした。横にあったクヌギの木が倒れてきたのです。チャバさんちの子供を抱きかかえた時、その木がホロップさんのお父さんに倒れかかってきたのです。

腰を強く打ちました。その日以来、お父さんの腰は少し曲がってしまったのです。だから今日もお母さんと一緒に、温地帯の温泉に出掛けているのです。

アマンもガマンもゲロッポさんとホロップさんの話を聞いていてちょっぴり感動していました。チャバさんちの子供さんを助けた、ホロップさんのお父さんの勇気に心を打たれたのでした。

勉強の部屋 <樅(もみ)の木(注:1)>

よい子のみなさん、もみの木を知っていますか?この木は12月、クリスマスツリーとして使われます。ほら沢山の豆電球(あかり)や、お星様や、金銀のモールを飾るでしょう。

みんなのお家でも作るのではないですか。またそれ以外にも、もみの木は昔からご飯をいれる「おひつ」や、お寿司をいれる「おけ」、かまぼこ板、などに使われているのですよ。

また神社などでは、神様の木と考えられてきました。クリスマスツリーは、大昔のドイツで、病気退治(たいじ)のため家の中にもみの木を入れたのが始まりだと言われているのですよ。(佐田建美・ケルン32より)


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