2014年12月20日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・【男達の黄昏・・そして今(15)】(標高 1040 m)


【男達の黄昏・・そして今(15)】

 テレビからファンファーレが鳴り響いて、各馬ゲートに近づいていきます。スターターの合図で全馬、ゲートにおさまりました。『カシャ〜ン』とゲートが開いて各馬一斉にスタートしました。きれいなスタートであります。1頭の出遅れも無いようです。1枠を利して1番キョウシンベガが逃げの手を打ったようです。1コーナーでは他馬に3馬身ほどの差を付けて逃げています。その内から佐東のホッコーバトルがあがっていきました。3番手にゼッケン6番のブレイブソング、その後ろにゼッケン3番のマチカネベースが押っつけながら上がって行きます。ちょっと掛かっているのでしょうか?騎手が少し後ろに下げ加減であります。その後、7番トニービルマ、16番マイテイコリン、8番ブルーバックスなどが続いて向こう正面にさしかかりました。さあこのあたりから後続馬も序々にピッチを上げて前に迫って行きます。まだキョウシンベガが逃げています。その差はまだ2馬身ほどあるでしょうか?

 大外からスーッと上がってきたのは、14番レキシントンレドであります。なかなか良い手応えであります。各馬3コーナーから4コーナーに差し掛かっています。先頭から最後尾まで10馬身そこそこでしょう。一気に差が縮まってきました。さあいよいよ4コーナーから直線に入ってまいりました。ここで先頭が10番カネトシマネイに変わりました。各馬一斉にラストスパートであります。やはり来ました来ました。14番レキシントンレド、一気にカネトシマネイを交わして先頭に立ちました。1馬身、2馬身と差を広げていきます。インマイタウンはどうしたのでしょうか、まだ後方におかれているようです。

 大外から一気に3番マチカネベースが突っ込んできました。それに合わせ馬をするかのように、2番のニホンピローキックと11番のモンローシルバーがもの凄い足で突っ込んできました。先頭はレキシントンレド、2馬身の差を保っています。二番手にはマチカネベースがまだ粘っています。大外から2番と11番が並びかけた所でゴールイン。3頭ほとんど同時。一着のレキシントンレド以外は全くその着差はここからでは分かりません。2着から4着まで写真判定と出ています。電光掲示板には114番だけが表示されております。それにしても烈しいレースでした。『山田さん、見応えがありましたね!』『すごかったですね、あの直線のたたき合い。う〜〜ん』と解説者の山田さんも興奮しています。

 さあ、ここ『明石屋』のテレビの前もざわついています。全員、電光掲示板に釘付け状態です。周さんの推薦馬が3頭絡んでいるので一層力が入るというもの。長い写真判定の結果、114番レキシントンレド、23番マチカネベース、311番モンローシルバー、42番ニホンピローキック。その差は1馬身1/2、ハナ、ハナ、ハナの大接戦でありました。

【払戻金額は、単勝14550円、複勝14210円、3850円、111,050
枠番連勝2-7,  1,850円 馬番連勝3-14, 9,560円 馬番単勝14-3, 45,850円。3連複3-11-14, 78,650円、3連単14-3-11, 579,650円となったようです。】

 みんななにがしかの当たり馬券を買っていたようで、にこにこしています。周さんのコラムには一斉にお礼のコメントが寄せられているようです。その時、宝ジェンヌさんが『先生、種明かしをして下さいな』と言いました。周先生は照れながら、おもむろにこう言ったのです。このレースは本当難しいレースでした。だからヒモには何が来てもおかしくはないのです。そこでハタと悩みまして、ままよ三度笠横ちょに被り、エイヤア!で決めたのです。

『それはまたなんだんねん』と黄昏斑が男声合唱団のように、はもった。『このレースの名前は?』と周さん。『甲山特別です』と哲じい。『それでヒモの馬は3番と11番にしたのじゃん』と周さん。本当に恥ずかしそうです。

 ジェンヌさんが『それがモンローシルバーの夏山騎手の馬と、そしてマチカネベースの厩舎は甲の浦厩舎だったってわけ?』『当たり!』と周さん。騎手二人の名前がらみから、『甲山』と読んだと言うのです。『競馬の予想は何でも有り』と言っていた周さんの言葉がやっと今、みんなは理解出来たのでした。『さあ、今から飲み直しや。鶴さん、今日はもう店閉めなさい』と哲じい。その夜は楽しい笑い声が『明石屋』から遅くまで聞こえていましたとさ。


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