アマン・ガマン・ゲロッポのお話 10
もう夜はずいぶんおそくなっていました。さきほどまで見えていたお月さまも山のほうに隠れてしまい、かわりにお星さまが沢山見えています。そろそろアマンは眠くなってきました。
朝から今まで生まれて初めての体験の連続でした。今夜はゲロッポ小父さんが蕎麦(そば)がらの寝床を用意してくれました。
『さあ、アマンもガマンもゆっくりおやすみ』そう言ってゲロッポさんは、芹(せり)の寝床の方に行ってしまいました。
アマンは蕎麦がらの寝床にうずくまりました。ガマンがそっと横にきて暖めてくれました。もうアマンは小さな寝息をたてています。ガマンはこれでも男の子、今夜はアマンを守らねばと考えていました。
アマンはそんな事も知らず、夢を見ていました。そこに出てきたのは優しいお母さんの姿でした。お母さんはそっとアマンに言いました。
『アマンや、お前は幸せだね。ゲロッポさんやガマン君、それにホロップさんまでお友達になれて。アマン、みんなに可愛がられるのだよ。それにはね、みんなに優しく、感謝する事だよ』そう言うとお母さんはす〜っと消えてしまいました。
アマンの目にあふれた涙がポロリとこぼれました。ガマンはその涙をそっと舌ですくい取ったのです。それはとってもいいスミレの花の香りがしました。
ガマンは大きくなってからも、その時のアマンの涙をいつまでも忘れなかったのでした。
Presented by Jun
ニホンスミレ アマンちゃんの涙の香りがしますよ
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