アマン・ガマン・ゲロッポのお話 13
アマンやガマンたちのすむ水辺には初夏の風がさわやかに吹いています。アマンとガマンがやってきたバイカモの揺れる小川、どんなところでしょうね。ちょっとのぞいてみましょうよ。
あっ、アマンもガマンも美しい水辺で遊んでいますよ。きれいな花が一杯咲いています。ガマン君がこっちへおいでとアマンを誘っているようです。そこには生まれたばかりのレンボリックさんの子供たち(カルガモのヒナ)が水草を食べています。
『こんにちは!』とガマン君が声をかけました。ヒナちゃん達はちょっとおどろいた様子でアマンとガマンを見つめました。とっても可愛いお目々が、きれいなお水の中でまるで黒い宝石のように輝いていました。
『こんにちは!わたしアマンて言うの。アマガエルよ、よろしくね』『ぼ、ぼ、ぼくカリュガ・・モ、だじょ』。とレンボリックさんちの子供たちが、たどたどしい言葉で話しました。カルガモのお母さんは、お尻を振り振りゆるやかな流れの場所で泳いでいます。子供たちも重なり合うように近づいたり離れたりしながら、みんなで泳ぎの練習です。
アマンはそんな様子をじっと見ていました。アマンにはもうお母さんはいません。アマガエルは生まれてしばらくすると、お母さんから離れて行くのです。
『こんにちは、アマガエルのアマンちゃんて言うのあなた?』『えっ、わたしのことですか?』『そうよ、この小さな子ども達といっしょに遊んでやってね、お願い』カルガモのお母さんは優しくアマンに言いました。
アマンはガマンの方を見ました。ガマン君は手を水の上に出してパチパチと叩いてみせました。それは『良かったね』と言う合図でした。このようにして、アマンはカルガモのレンボリックさんたちと仲良くなったのです。
その様子をリリーパッド(注1)の上でじっと見ていた一匹の生き物がいました。黒い背中に真っ赤なお腹そして長いおしっぽ。ちっちゃいけれどクリクリ可愛い二つの目、そうですイモリ(アカハライモリ)の奥ちゃんでした。奥ちゃんもその仲間に入れてもらいたいと思っていたのです。
庵主:17年一緒に生活していた奥ちゃん
勉強の部屋:リリーパッド(注:1)
リリーパッド(lilypad)とは、スイレン・ヒシモなど、葉が水面に浮く植物のことを言います。これらはいわゆる浮き草ではなく、必ず底に根を張り茎を持っています。強い日差しが水面の葉にさえぎられて、水中は陰となり水中の茎に身を隠すこともできるので、お魚さんたちの格好の住み家となるのですよ。
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