「鴇色〜鴇鼠(ときねず)」
さて色のImageの四色目は、「鴇鼠(ときねず)」でございます。秋の空が夕暮れ時を迎えて、それまでの青い空の色に、白いレースを一枚覆った色から、「鴇色(ときいろ)」に変化し、瞬く間に「鴇鼠(ときねず)」へとうつっていく。
この一瞬はなかなか見るチャンスが巡ってこない。ボクはこの変化を裏富士の夕暮れに見たことがあります。そこは河口湖でした。その美しい富士の稜線に見とれた刹那、もう朱色になりしばらくして藍色に変わって天頂が残照に輝いて燃え上がったのでした。
鴇鼠(ときねず)
鴇色(朱鷺色)
あの瞬間の色が「鴇鼠」だったのかと思い出しています。トキの背の色を実際に見てみたいのですが、今はもう日本産の「朱鷺(トキ)」は2003年10月10日、雌の「キン」が死亡したことで、絶滅してしまったのでした。
学名:ニッポニア・ニッポンでコウノトリ目、トキ科に分類されている鳥です。国際保護鳥トキについて調べてみました。「全長約80㎝、顔と脚は赤く、頭に細長い冠毛の束を持ち、体は淡いピンクを帯びた白色の羽毛でおおわれていますが、繁殖期には頭から背中にかけて灰色になります」と説明がされています。その繁殖期の背中の色が「鴇鼠(ときねず)」色と表現されている日本古来の伝統色なのです。
日本で絶滅したトキは一時、中国でも同様に絶滅したと考えられていたのですが、1981年に生きている事が確認され、温かい保護を受けて毎年ヒナが生まれ今日も増加しているのです。
中国政府より1991年、2羽のトキが日本に贈呈されることになったのです。それが雄の「友友(ヨウヨウ)」と雌の「洋洋(ヤンヤン)」でした。日本から野生のトキが消えて以来、28年が過ぎました。現在では中国政府より贈呈を受けたトキが子孫を残してくれています。
新潟県佐渡ヶ島、トキの森公園及び野生復帰ステーション観察棟には123羽(2008年7月18日現在)が飼育されているのです。(佐渡観光協会H・P)
【さて昨日のニュースで自然の中に放ったトキに36年振りに子供が(3羽)誕生したとの事でした。暗い出来事の多い昨今、久しぶりに心躍る知らせでした。こんな朝は『春の日の花と輝く』を聴いて過ごします。
この随想は3年ほど前、「色のImage」というタイトルで日本古来の伝統色について書いたものです。たまたま「鴇色」の記事が残っていましたので新潟県に住む一人としてこのたびの慶事にあたりアップさせていただきました。】
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