【胡桃(クルミ)のおちる林道】
夏と秋のあいだに
季節は光と陰を追い
胡桃(クルミ)は枝をはなれ
忘れ去られた捕虫網は
風をはらんで炎天の童たちを想う
オオルリのヒナはいましも
産毛(うぶげ)をふるわせながら
遅まきの旅立ちの朝をむかえた
熊よけのラジオからは
井上陽水の『少年時代』が流れ
誰もいない森の小径には
倒れた木がアーチにかぶさって
夕暮れの寂しさがひそやかに
仮面顔ですり寄ってくるのだ
胡桃(クルミ)の落ちる林道には
腰痛をこらえて拾い歩く自分がいる
(庵主の日時計日記:今朝のポエム)
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