2012年5月27日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高358m>


アマン・ガマン・ゲロッポのお話 27

どんどん黒い森が近づいてきます。手と足をいっぱいに広げてアマンは必死で浮かび上がろうとしましたが、それはアマンの力ではどうにもならないことでした。

その時でした。上空の黒い雲のなかに小さな鳥のようなものを見た感じがしました。それは確かに鳥の姿でした。でもフクロウのツバサ君ではありませんでした。ひょっとすると、あのおそろしいトンビのピンヨロさんではないでしょうか?その鳥はアマンを目掛けて一直線に近づいてきます。下には恐ろしい黒い森が広がっています。

上空からはものすごい顔で一羽の鳥が自分を目掛けて襲いかかってくる。『お母さ〜〜ん、助けて〜〜!』とアマンは最後の力を振り絞って叫びました。その瞬間、白雁のコットンさんは、アマンの体を優しくつかみ取ってくれたのです。一瞬食べられてしまうのではないかと体を固くしたアマンでしたが、その鳥の優しい仕草にほっとしたのです。こわごわ鳥の顔をそっと見上げました。



真っ白な頭、金色のクチバシ、体には光るような銀色の羽根がいっぱいはえていました。それはアマンが生まれて始めてみた鳥でした。『私は白雁のコットンだ。危なかったな、もう少しであの深い森に落ちてしまうところだったよ、あそこに入り込んだらだれも二度と出てこられないと言われている密林(ジャングル)なのだよ』。

コットンさんはそう話しながら、ツバサ君とガマンが待っている谷間の蔭に向かって飛び続けました。その足にはしっかりとアマガエルのアマンを握っています。アマンの冷えていた体がコットンさんのぬくもりで温かくなってきました。そして怖さとつかれとでちょっとだけ眠ってしまったほどでした。

その頃、お兄さんフクロウのツバサ君とガマンは谷間の岩陰の木に止まって、じっと空を眺めていました。雲がものすごい早さで、か黒い太古の森の方に流れて行くのが見えています。まだ空の中には、コットンさんの姿は見えてきません。ガマン君はじっとこぶしを握って、アマンの現れるのを今か今かと待ち続けていました。

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