2014年11月24日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・【男達の黄昏・・そして今(10)】(標高 1024 m)


【男達の黄昏・・そして今(10)】

 『するどい!!ありうるで、この犯人はだいぶの探偵小説のファンかもな』と、まるで明智小五郎率いる、少年探偵団の発想である。だれ歌うとなく懐かしいメロデイが・・・。『ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団。勇気凛々虹の色、望みに燃える呼び声は朝焼け空にコダマする。ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団!オーッツ』。

こんな調子で、『夕陽丘自警団、黄昏斑』は、目的の泥棒を捕まえる事が出来ると言うのでしょうか?だんだん心もとなくなって来た所で、いったん小休止。まあ、ちめたいビールでも飲んで頭を整理しましょうや、ご同輩! 周さんの分析、其の1で思いもよらぬ事が判明しました。ひょっとして次の泥棒のターゲットの一つがリチャード先生のお宅かも知れないと言うので、早速今から先生のお宅を訪問しようと言う事になったのです。

 沼ちゃんがまず電話を架けています。先生ご夫妻がおられるという事がわかったので早速出かける事にしました。鶴さんがお寿司をお土産に用意したようです。メンバーのうち誰も今まで先生のお家を訪ねた事はなかったのです。そこは確かに周囲を塀に囲まれています。R.リチャードの表札が上がっています。中から犬の鳴き声が聞こえています。空き巣犯のターゲットになる資格充分です。チャイムを押しますと、奥様の優しい声がかえってまいります。『オウ、ミスター、ヤマオカ、コニチワ。』『奥様、突然ですみません。先生はお時間大丈夫ですか?』『ハズバンド、オーケーよ。いま、スタデイーらしいよ。ミナサマ、さあドウゾ、どうぞ』。そう言って門が開かれて我々はお庭に入ったのです。

 なかなか手入れの行き届いた素敵なお庭である。やはり外人さんの感性は我々のとはちょっと違っている。小さな噴水があって、エンジェルの像から水が出ている。アーチ状になったゲートに薔薇が咲き薫っています。大きな黒いドーベルマンが一頭、ゲージのなかを周回しています。時折、大きな低い声で『うお〜ん』と唸るように啼いています。この犬なら泥棒も身がすくむというものです。一行は大きな明るいリビングルームに通されました。10人は腰掛けられるような革製ソフアーが『コの字型』に置かれてあります。先生のお国から持って来られたビンテージ物のようです。自警団のみんなは、座ってお庭の景色などを眺めて居りました。

 五分ほどたったでしょうか。ぶ厚い木のドアーが開いて先生が現れました。ジーンズにタータンチエックのシャツ、なめし皮のベスト。口にはパイプ、いかにもナイスミドルそのものであります。『先生、突然おじゃましてすんません』と哲じいが立って挨拶をしました。沼ちゃん、徳さん、周さんも腰をあげて軽く礼をしました。『ノット、アット、オール。ドウゾオカケダサイ』と先生。『それにしても素敵なお庭ですね。これはアメリカンスタイルの?』と、知ったように徳さんが聞いている。『イヤソンナイイモノデハアリマセンヨ。ワタシニイワセレバ、ヨセウエ・ガーデンデショウカ。』これは、奥様のキャサリンさんが作り上げたお庭だそうです。まあ謙遜してそう言われたようですが、なかなかの出来映えだとみんな感心したのでした。『オソクナッテスミマセン』。キャサリンさんがお盆を持って入って来られた。そこはかとなくハーブテイーの香りがしています。


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