【男達の黄昏・・そして今(7)】
『そこで今日は皆さんに、一応今までの空き巣、泥棒事件の内容と傾向についてご説明したいと思います』と、香山刑事。データ屋の周さんがぐっと膝を前に進めた。
島田巡査が、夕陽丘の全地図を壁に掛けた。そこには事件になった家に赤いシールが貼られてある。上空から町を見下ろす感じで、視覚に訴えかけてくるようだ。
『なんだかバラバラのようにも見えるが・・・』と周さん。『この13軒のお宅を調べたのですが、周囲を塀で囲まれていて、その内10軒は犬を飼っていて、日中には留守になるのが共通項なんです』と、香山刑事が皆の顔を見て重たく話した。『ちょっと変ですね?犬を必ず飼っている家ってのが・・・う〜ん・・』と周さん。『そうか、案外その方が安全なのかも。その犬を一端黙らせてしまえば回りから怪しまれないで仕事が出来るじゃん』。周さんはもともと横浜育ちなもので「じゃん言葉」である。
日中には誰もいなくなる家、これは結構多いのではないだろうか。夫婦共稼ぎならまずそれに当てはまる。一人だけで住んでいて、日中出て行く場合も当てはまる。そう言えば老人がずっと家の中に居る家には入られていない。犯人は充分、事前リサーチをして事に臨んでいるのは確かである。この夕陽丘全体の所帯数は七百六十五所帯。人口にして2,670人。結構大きな街である。幼稚園から高校まで一応揃っている。デイサービスの施設もあるのだ。
さて話を戻しましょう。香山刑事が続けてこう話した。『ここの住宅で被害にあったのは全て日中です。夜は一度もありません』『夜は特に静かな地区なので空き巣も仕事がやり辛いのでしょうな』と、徳さんが決め打ちの様に言った。『ところで刑事さん、この13軒のお宅の被害状況を教えてもらえますか?』と周さんがバスパートの声で言った。『まあ、プライバシーに関する事はお話し出来かねますが、大まかなところをご説明致しましょう。島田君それ貼ってくれるか』。
島田巡査が一枚の紙に書かれた円グラフをテープで壁に貼った。学生時代に試験によく出たあの円グラフである。まず一番多く盗まれているのは、宝石類であります。時計などもその中に入っているようです。二番目がパソコン、それもノート型の比較的小さいもの。持って逃げる際にデスクトップではどうにもならない。三番目が骨董品。床の間に飾ってある、由緒あるいわゆる『お宝』であります。四番目が金品でありました。案外お金はどの家もそう置いていないようでこんな結果になっているとの香山刑事の説明であります。
さてここに五番目にランクされる物をみた時、全員が『ええ〜〜っ!!』と声を上げたのでありました。それは果たしてなんであったのでしょうか? クイズタイムショック!! ちょっと古い番組で恐縮ですが、お考え願います。
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