【地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)】
『正月や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし』。という古歌がありますが、人間この世に生まれてきた以上、いつかはこの世を去らねばならないと言った厳粛な約束事が存在します。
元気で生活している青年、壮年時代は『死』という事を考える時間も余裕もないものです。それは若さのエネルギーが『死』のマイナスイメージを凌駕しているからでしょう。
古典落語の中に、『地獄八景亡者戯』(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)と言う噺があります。これは江戸時代に出来た噺で、忌み事である『死』を斜に見てそれを『笑い』に転換しています。『死』を怖いとか寂しいとかいう昔よりの思いから、『別段怖い事ないで〜』と言った世界へ引き戻してくれるのです。
私の知る範囲では、この『大ネタ』を高座にかけたのは、人間国宝『桂米朝』師匠と、その一番弟子今は亡き『桂枝雀』師匠でした。なにしろ長い噺で、前半、後半にわかれていまして、枝雀師匠も途中で5分程度の休憩を挟んで演じています。
通しで一時間と十分ほどの噺でしょうか。それだけに演じる人も余程体調の良い時しか高座にかけられないのではと思うくらいです。それとこの噺には、『鳴り物』が多く入っている事が特徴です。太鼓、三味線、銅鑼、お囃子など舞台の裏方さんに相当な演技力が要求されるのです。だから一門あげての高座となるわけです。
ボクは今日までこの噺を、『50回』以上聴いているでしょうか。だいたい同じ話は二〜三回も聞けば充分(これは日常生活の中での通常の話)ですね。よく年寄りが何回も同じ話をするのに、辟易とする事がまま有るでしょう。
そんな時は、『もう、聞いたがな』と言って手を額の前で振る動作をします。『充分です。その話はもう結構です』と言う意思表示ですね。ところが面白いと言うか、良くできた『落語』のネタ(噺)は何度聴いても飽きが来ません。それよりも聴けば聴くほどその噺の中に奥深く入り込んで行くのです。(明日に続きます)
大阪池田伏尾 久安寺の紅葉 Presented by Jun
庵主さま、おはようございます。
返信削除今朝はめっちゃ冷えてますが、
そちらは雪ですよね!大阪とは比べられないぐらい寒いでしょうね。
地獄八景~、大好きです。私も何度聴いても飽きないです。
実際見たのは雀々さんだけですが(^_^;)
ひよちゃん
返信削除おはようさん。ようこそいらっしゃいました。
いつも頑張ってアップしていますね。かんしん、かんしん。
ゆんべ降った雪でなにもかも真っ白です。それに朝日があたって荘厳ですよ。
こんな殺伐とした哀しい世の中、落語を聞きながら酒でも呑んでないと気持が落ち込んでしまいますよね。
ボクのリカバリー法は落語を聞き、自分で演じてみる。これで明るい自分を取り戻しています。ひよちゃんも毎日仕事に、ブログネタ探しに多忙でしょう。しっかり落語の世界を楽しんで下さい。