【ヴィオロンとマグネット(届かなかった手紙)6】
ドイツ、マンハイムに住むヨアヒム(Joachim)は、ハイデルベルグ大学を卒業してマンハイム州立病院の医師として今日も忙しい一日を終わろうとしていた。
マンハイム(Mannheim)は、ドイツバーデン=ヴェルテンベルグ州の都市であり州都シュトウットガルトに次ぐ大きさである。そこは日本の京都の町のように、市街地が碁盤の目のように区切られている整然とした町である。
ヨアヒム医師は、マンハイム大学近郊の静かな通りに面した古びた一軒家を借りて生活をしていた。まだ独身であり、年齢は40歳を少し越えてはいたが、その赤髭の風貌は彼の年齢を5歳ほど老けて見させていた。
彼は幼少年時代を、ベルリンの孤児院で過ごしている。先の戦争で身内も親戚も不幸にして戦火に倒れ、頼る者が一人もいなかったからであった。いわゆる戦災孤児である。しかしヨアヒムは小学校から大学まで、常に首席で通す程の秀才だった。
その結果、彼はハイデルベルグ大学医学部を卒業し現在マンハイム州立病院の外科部長として多くの医師を指導する立場にあった。
その年1988年8月のこと、朝から蒸暑い空気が病院を取り巻いていた。クーラーが十分に効かないほどの暑さで、どこの部屋も窓を全開して、せめて外からの涼しい風を期待していた。
朝の10時頃、彼の元に一通の手紙が届けられた。どうみても最近出された手紙ではないようだ。封筒の上に、ここマンハイム州立病院外科病棟内、Dr.ヨアヒム殿とタイプで打たれた小さな紙片が貼り付けられてあった。
こんばんは♪
返信削除今日も午後からボタン雪が舞ってきました
通勤に1時間かかる人は3時間もかかって帰ってきたそうです
明日の朝は道路も凍結、歩いて出勤になりそうです
そちらも今頃、しんしんと降っているのでしょうか
かすみ草
かすみ草 様
返信削除お早うございます。
昨日は近畿も雪が積もったらしいですね。
娘の住む北神戸も20センチと言っておりました。
車も運転できず、さりとて自転車はなお危ない。
あとは徒歩のみですが、滑って転ぶ事故が多発。
今朝の出勤は充分足もとを固めて、出来ればストックくらい持った
方が良いでしょうね。
こちらは朝からシンシンと降っています。20センチ程度でしょうか。
ではまた。お元気にて。