【宮中歳時記・一月の宮中行事】
一月の皇居のことなど
一月は、睦月(むつき)であります。親戚、知人が相睦み合う月であって、またの名を初春月(はつはるづき)、年端月(としのはづき)、初空月(はつそらづき)とも呼びます。
春は、四季の初めとされています。だから春は発(はる)のことで、草木が萌え出ずる時季とされています。しかし一月は、まだ寒さが厳しくて、皇居内の草木が萌え出ずるところまではいっていないのですが、それでも早々と咲き出すものもあるのです。ロウバイが、その最初であります。牧野富太郎博士の説によりますと、ロウバイはロウバイ科の落葉樹で、漢名の「蝋梅」の音読みから名付けられたものだとされています。
原産地は、中国の湖北、雲南地方などで、後水尾天皇(在位1612~29)の時代に我が国に渡来したものであるとの事です。薄黄色の香りのよい花をつけるので、昔から庭木として珍重されています。
先帝陛下の「おしるし」は「若竹」でありますが、これはカンチクをとったものであります。おしるしとは印章のことで、身のまわりの調度品などに、区別するためにこのしるしをつけられたもので、古い時代からのしきたりとなっています。(入江相政著・宮中歳時記より謹載)
第六十二回、神宮・式年遷宮諸祭について
来る平成二十五年、神宮(伊勢神宮)においては、二十年に一度の式年遷宮が執り行われます。この遷宮とは、新しい神殿を造り、神さまのお遷りをいただくことであり、これは二十年に一度と千三百年前に天武天皇が定められました。
なぜ二十年ごとか。最も古い建築が常にはじめのスタイルのままで、しかも苔むす姿ではなくいつの時代にも生き生きと存在する。そして二十年を区切りとして神様に若返っていただいて、フレッシュな御光、より力強い神のエネルギーをいただいて、より素晴らしい時代を祈るという世界に類例のない祭りが伊勢の式年遷宮であります。
なおその匠の技術の継承は二十年という期間に受け継がれていくものと考えられています。
さてその遷宮に先立ち、諸々のお祭りが行われます。少しずつですが照会してまいりましょう。
平成十七年 五月 山口祭(やまぐちさい)
遷宮のご用材を伐る御杣山(みそまやま)の山口に坐す神を祭り、伐採と搬出の安全を祈ります。五月二日に内宮・外宮で行われました。
平成十七年 五月 木本祭(このもとさい)
ご正殿の御床下(おんゆかした)奉建する心の御柱のご用材を伐採するにあたり、その木の本に坐す神を祭ります。山口祭の夜に行われました。
(伊和志津神社宮司への聞書き及び矢野憲一著・伊勢神宮参照)
今日よりスタートします【宮中歳時記】、一週間に2回程度のアップです。宮中行事や皇居の自然などを分かりやすく掲載する予定です。どうかお楽しみに(庵主)
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