2013年3月27日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・ジャズパブ維摩 32 <標高577m>



二人は中腹の『神呪寺』にやってきました。張り出した舞台から、京阪神の町が一望に見えています。右手前方には『大阪ドーム』のオールステンレスの大屋根が秋の陽差しの中でキラキラと輝いています。

梅田の高層ビル群、大阪城の天守閣、そして生駒の山はもとより、果ては和歌山までうっすらと見えているのです。二人はこの神呪寺を足場にして頂上を究めます。ジグザグ状の道が続いています。杉、檜、そして谷間の栗の木にはもう、いがいがの栗が実っています。

神呪寺より30分もあれば頂上まで登る事が出来ます。頂上でほぼ360度の眺望が期待出来たのは昔の話。今では周りの木が覆い茂って充分ではありませんが、場所によっては『神体山・甲山』よりそれぞれの下界のポイントが見えます。

北山の巨石群は、エジプトのピラミッドがそれぞれの天体の動きや春分、秋分、夏至線、冬至線などを示唆しているのと同様、ここ『甲山』の周辺の巨石群も太陽の昇る位置などを正確に表しているのです。

信二は祇乃にその位置取りや、関係を指さしながら説明した。頂上のモニュメントに詣で、先史人達の遺跡に思いを馳せたのであった。流れる雲の早さに時の流れを重ねて2万年も以前にこの『甲山』に『カタカムナ人』が昇って来て今の自分たちと同様に祈りを捧げたのであろうか?

夫婦の契りを結んだ翌日、二人はまさに『縁結び』の山、『甲山』の頂上に立ち風や雲の流れる様に悠久の歴史と一体となれた実感を得て、不思議な力が漲って来るのを体感していた。

『霊山、霊峰』などと呼ばれる『独特の山』では、しばしばそのような事が体験出来る。『山』は『天』に近く、『上=神』に通じている。人間の目には見えないが、世界の『秀峰』はそれぞれのエネルギーを一種の『波動』に変えて瞬時にそれぞれが繋がっているのかも知れない。我が国の司令塔は『富士山』である事は言を待たない。

芹沢信二と祇乃は『カタカムナの故郷・西宮甲山』を下りて、次の訪問地『霊峰・妙高山』の存在する、新潟県妙高市に向かって旅だっていった。妙高高原は、彼らが逃避行を続けていた時、『最後の夜』をすごした地であった。ペンション『エーデルワイス』を訪ねる事は、彼らの長い間の願いでもあった。


厳冬期の妙高山 又の名を須弥山(しゅみせん) 中心に聳える山の意

二人の旅の途中、庵主様達一行は、すでに『気仙沼』に向かって神戸をスタートしていました。


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