アマン・ガマン・ゲロッポのお話 30
アマンはコットンさんの足の水かきの暖かさを思い出して、じっと祈るような目で雲の中を見ていました。コットンさんの銀の羽根が太陽の光を受けて、一瞬キラリと輝きました。
ツバサ君にお礼を言って、アマンとガマンは木の根っこのホロップさんのお部屋に帰ってきました。心配そうにしてホロップさんはみんなが帰るのをずっと待っていたのです。お母さんウサギのミドリーヌさんが、樅の木の飲み物を下さいました。それは冷えた体を温めるとっても美味しいジュースでした。
アマンはホロップさんに空での出来事を一所懸命(いっしょけんめい)話しました。野ウサギのホロップさんは目をくりくりさせ、お鼻にしわを寄せて乗り出すようにして聞いています。
ホロップさんにとって空の上がどんなになっているのか分からなかったからです。地下の穴の中で生活するウサギさんと、大空を飛び回るツバサ君やコットンさんの生活は全く反対だったからです。でもこのアマガエルだって、いつもは水辺で生きているのに、大空まで行って来たなんて信じられないですね。
こうしてアマンとガマンの大冒険もなんとか無事に終わったのでした。それからの数日間は、アマンも岩穴のお部屋の中でおとなしくしていました。その間、ガマン君が冷たい水に潜って、小さな虫や、水もなどを獲ってきてくれました。
それからまた幾日かがすぎていきました。アマン達の周りにも、少しずつ春がやってきているようでした。その日の朝もアマンは岩穴から出て大きな石の周りをゆっくりと泳いでいます。
ガマン君もあちらこちらと泳いではなにやら捕まえていました。そしてきれいな柔らかい水草を岩穴に運び込んでいるのです。アマンはガマン君に聞きました。『ガマン君、それはなにしているの?』
ガマン君は黙って何もこたえませんでした。
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