アマン・ガマン・ゲロッポのお話 32
アマンはガマン君の作った水草のベッドで静かにやすんでいます。ガマン君は、せっせと食べ物を運んできてくれました。こうしてガマンとアマンはもうずぐお父さんカエルとお母さんカエルになるのです。
その頃、村の淳爺の果樹園(果物を栽培している場所)では、リンゴの花が満開になっていました。甘い香りとその花の蜜を求めて、蜜蜂のブンブンもやってきました。
近くの池の中には、イモリの奥ちゃんが眠たそうな目をしてブンブンを見ていました。
『ブンブンさんこんにちは〜。ちょっとお願いがあるのだけれどいい?』と奥ちゃんは蜜蜂のブンちゃんに言いました。
『なんだい、ボクにお願いってのは』『ほら向こうの山のそばに流れている川を知っているだろう。そこに大きな滝があるんだ。その少し上流に岩があって、そこにアマガエルのアマンとガマンが住んでいるのだよ』。
ブンちゃんは、すぐにその在処(ありか)がわかりました。それは杏子(あんず)の木の近くだったからです。杏子の花が咲く頃、いつも蜜を吸いに行っていたからでした。
『そこへ、その甘い蜜を届けてやってくれないか。アマンちゃんに子供が生まれたらしいのだよ』そう言って、イモリの奥ちゃんは、蜜蜂のブンブンの足に小さなスズランの袋を持たせました。『いいよ、じゃあ行ってくるね』そう言ってブンブンは一直線に滝に向かって飛んで行きました。
ブンブンは、スズランの蜜籠(みつかご)をしっかりと持って川の上を飛んでいます。大きな太陽がキラキラと輝いて、お空は真っ青。ブンブンの透明の羽根は、真っ白い風を切って、ブールル・ルビブルと鳴っていました。
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