アマン・ガマン・ゲロッポのお話 34
そして暖かい日がしばらく続きました。そんなある日・・・。
近くのブナの木にチョウゲンボウが止まってあちらこちらと周りを見ています。まだ若い鳥のようです。チョウゲンボウはヘビやカエルを捕まえて食べるタカの仲間です。
ガマン君は、外に出ないで岩の穴からその姿をじっと見ています。その時若鳥がなにかを見つけたようです。鋭い目が一瞬キラッと光るのが見えました。
頭を低くして、尖ったツメ(爪)のはえた足で枝をしっかりとつかんでいます。そして首をグット伸ばして、その獲物をしっかりと見ていました。その時、山から吹いてきた風がその若鳥の背中をぐっと押したのです。
一気に枝をけって、チョウゲンボウは獲物目指しておそいかかりました。それはあっと言う間のことでした。一直線に川の岸辺に生えているクマザサの茂みの中に舞い降りたかと思うと、足の鋭いツメ(爪)で獲物つかんですぐに飛び上がったのです。
足の先には、あの恐ろしい青大将がしっかりと握りこまれています。大きく羽ばたいて、チョウゲンボウの若鳥は山の中に飛んで行ったのです。
自分たちをねらっている青大将もまた、大きな鳥に狙われている。ガマン君はその事を今、岩穴の中でじっと考えていました。怖くて、恐ろしい現実にとまどっていたのです。
でもそう言うガマン君も蚊やカゲロウや蝶々などを捕まえて食べているのです。
その時でした、アマンの声が聞こえてきました。『ガマン君、小さな赤ちゃんが卵から出てきたわよ。ほら見て!』。その声はもうお母さんアマガエルそのものでした。
アマンが小さな赤ちゃんにきれいな水をかけています。小さな命はプルプルと震えながらそのゼリーの粒より出てきたのでした。それはアマンとガマンの子供が、今、神様の命を得てこの世に生まれ出た瞬間でした。
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