アマン・ガマン・ゲロッポのお話 31
ガマン君が何も言わずに、せっせと水草や木の葉を穴の中に運んでいました。春が近づいていて、アマンもガマンも体の中に何かしらパワーが湧いてくるのを感じていたのです。
ガマンはそれが何であるのか知っていました。自分たちももう子供ではありません。いずれは子供を残さなければならない時が来ることを感じていたのでした。
それは、アマガエルとして生まれてきて、今までアマンと一緒に暮らしているからなのです。ガマン君の中に、今までは妹のように思っていたアマンが、そうではないように感じてきていたのです。
アマンはまだそのことに気づいていないようです。でもこの春の太陽は、アマガエルたちにも生命の営みを教える暖かい手を差し伸べてくれているのです。それは大自然の不思議な力でした。アマンもガマンももうすぐその太陽の光を受けるのです。そして彼らの子ども達にも命を与えることになるのでした。
ある暖かい日のことです。この前、上昇気流がツバサ君とアマンやガマンを吹き飛ばしたその山の上に太陽が差し掛かった頃、アマンはお腹の中が、なんだかムズムズとしてきました。
ガマンはその様子をじっと見ていました。そして太陽が隣のお山に暖かい光を当てた頃、ガマンはアマンのお腹を強く押しました。アマンは怖がる事無く、ガマンにまかせていたのです。二匹のアマガエルはお互いにしっかりと、信頼しあっていたのです。
そのうちに、アマンのお腹の中から、いくつもの卵が出てきました。ガマンはその卵の上に、そっと自分の命を放出(はきかけ)ました。こうしてアマンとガマンの子ども達がこの世に生まれ出るきっかけが出来たのでした。アマンとガマンはこの年の春、お父さんカエルとお母さんカエルになったのでした。ほんとよかった。
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