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【庵主の草枕・夢旅日記(四)】
近江舞子を8:53分に出た電車は、北小松、近江高島を経て安曇川(あどがわ)に到着。正式には高島市安曇川町である。湖西地方きっての大河である安曇川の三角州に立地しています。
この地の歴史は古く古代大陸系来人、安曇族が栄え、これが安曇川の由来となっているそうです。有名人では、日本陽明学の祖、中江藤樹は安曇川の人であります。といってもこの人の事を知っている人は少ないのではないでしょうか。
町の花は彼にちなんで、『藤』であります。庵主は以前仕事で訪れた際、名品高島虎斑石硯(たかしまこはんすずり)と雲平筆を買いました。
雲平筆は、滋賀県の無形文化財に指定されている藤野雲平氏の手によって制作されています。藤野家系譜によれば、藤野家が筆師となるのが元和年間(1615〜23年)、六代目又六(後に雲平と改名)の時。以後、代々毛筆制作を営み、十三代目雲平(現、雲平氏の父)が関東大震災のため、妻の実家があった安曇川町上小川に移住し、今日に至っています。初代からの伝統を受け継ぎ、毛筆をつくり続けているところが最大の特徴です。芯毛を上質の和紙で巻き固め、さらに上毛をかけて麻で強く締めるという製法をとる巻筆は、腰が強く、弾力に富んでおり、力強い墨線を生む筆として書家に根強い人気があります。現在の十四代目雲平氏に対する評価は高まるばかりで、労働大臣賞受賞(昭和63年)など数々の栄誉に輝いています。(Adogawa Home 2より)
列車は、眼前に広がる美しい湖面を時折展開させながら近江今津に滑り込みました。外では空っ風がうなり声を上げて通り過ぎて行きます。湖面には結構白波が立っているようです。私の耳にさした小さなラヂオ・イヤホンから赤城圭一郎の『霧笛が俺を呼んでいる』が流れています・・・懐かしいな。彼もエデンの東のジェームス・デイーンと同じように若くして事故でこの世を去っています。今でも多くのフアンがいます、実は私もその一人なのです。
あの映画は横浜港が舞台であったのでしょうが、ここ琵琶湖もまるで海のような広大さであります。近江今津もそう言った意味から言うと一つの湊なのですね。
近江今津の駅舎周辺は、近代的なものと昔の街道の古風さが共存していて面白い。今津港は長い桟橋が湖に突き出て船が憩う格好の桟橋である。釣り竿でも出せば、モロコや鮒がすぐにでも釣れそうです。
琵琶湖周航の歌資料館の向かいには、おばあさんが一人で商いをしている餅屋『きねや』があります。ここの大福はまず午前中一杯は残っていないだろうとのことです。即売り切れる人気商品であります。女性と子供には殊の外人気があるのだそうです。だから男性が頼まれて一人で5個、10個と纏めて買って行くのです。
また今津の街道筋のような町並みの中に、湖魚の佃煮を作って売っているお店があります。江戸時代風の町並みの路地裏から、年の頃なら十五、六の少女が走り出てきました。『お客さ〜ん、お釣りお忘れですよ』『ええっ、私ですか?』『さっき佃煮買って頂いたのおじさんでしょ』『ああ、いけないね最近もの忘れがね・・・』『はい、これ』と言って小銭を私の手の平においてくれました。
花の顔(かんばせ)輝いて、香(かぐわ)しい匂いすら感じます。差し出した手の薬指に赤いビーズの指輪がはまっていました。『ありがとうございました、じゃね』と手を振って駆けだしていく後ろ姿に、私の永遠の恋人『祇乃』の面影が重なって揺れました。
山紫水明名も高き・・・Imagined by Jun
お早うございます
返信削除毎日 楽しく 読ませて頂いております
ゆっくりと 時間が流れて いろいろと思いだす事も
あります どこまで 連れて行って頂けるのでしょうか
どこまでも 御供をしたいと思っています
星の王子 様
返信削除こんにちは。ようこそお出で下さいました。
以前のZAQブログに発表いたしました拙文ですが、途中で地震があったりして続けられなかったので今回補筆して『言葉のアーカイブス』の中で発表させていただきました。
出来ればJRに乗って日本の田舎を訪ねてみたいと思っています。なにとぞ宜しくお付き合い下さい。