時刻表 JR全線版を使って旅に出よう!
【庵主の草枕・夢旅日記(五)】
さて電車は、近江今津を出て近江中条、マキノを経て9:31永原に到着しました。ここ永原駅は、滋賀県伊香郡西浅井町にある湖西線の駅です。
駅舎はJR駅の中では珍しい、ログハウス風の駅舎であります。今年(当時)は暖冬とて雪はありませんが、昨年は大雪でこの駅舎にもしっかりと雪が積もって、まるで信州の山の別荘を訪ねたかの様な錯覚を覚えたと友人が話していました。
私は近江今津の佃煮屋で買った、湖魚の佃煮を取りだしてマホービンの『呉春』をちびちびと飲んでいるのです。この瞬間が『スロー旅』の最高のひとときなのです。いつまでに、どこに行かねばならないといった一切の制約がない生活や旅の心やすさ。
目に見える物、聞くもの全てが新鮮で心の琴線にびんびん響いてくるのです。ふとさきほどお釣りを届けてくれた少女の顔が浮かんできます。酒のグラスをちょっと挙げて、彼女の幸せに乾杯しました。ちょっぴり得も言われぬ恥ずかしさが、酒に混じって体内を駈け巡って行ったのでした。
電車は近江塩津、新疋田を過ぎて今回の旅の目的地、『敦賀』に到着しました。朝9:51分ぴったりです。ここはもう立派な北陸地方、福井県であります。関西から出てしまったのだという思いがしたものです。何か別世界へ入り込んでいくような不思議な感慨にとらわれ、腕組みをして何度かうなずきました。
敦賀の町に降り立つ前に、福井県について少し事前学習しておきたいと思うのです。福井県の西端は、京都府の『舞鶴市』に接している『小浜市』(おばまし)であります。若狭湾国定公園に指定されている風光明媚な観光地です。
高浜町、大飯(おおい)町、そして小浜市若狭町などが全国屈指の美景地、三方五湖を擁しています。私は大学3年生の夏、仲間とともに世久見湾の漁師町、食見、世久見を訪ねたことがあります。夕陽が落ちていく水平線を仲間達と眺めながら、当時流行っていた、『ブルーシャトー』などを歌った思い出が今も昨日のように浮かんできます。
ここで少し三方五湖について書いておきましょう。五湖と言うのだから五つの湖があるのです。その名前は、三方湖、水月湖、久々子湖、菅湖、日向湖の5つです。
万葉集に、若狭なる三方の海の浜清みい往き還らひ見れど飽かぬかも(詠み人知らず)という歌が残されています。はるか昔からその美しい優雅な湖影を住む人々に見せてくれていたのでしょう。
これらは全て海と繋がっています。ただその海水と真水の濃度が違っていますので、そこに棲む生物(主に魚)は色んな相(すがた)を見せています。それだけ豊富な生態系が維持されている貴重な湖であります。
若狭湾国定公園に指定されていて、環境汚染からこの地域を護ろうと多くの人々の努力が重ねられています。
三方湖は完全淡水湖で、鯉、鮒、モロコ、エビ、ワカサギ、ウナギなどが捕れます。水月湖(すいげつこ)は海水と真水が半々の、所謂汽水湖です。魚も海に住むチヌやスズキなども捕れます。
管湖(すがこ)も水月湖と同じ汽水湖です。渡り鳥が多くやってきます。当然鳥類の禁猟区になっています。久々子湖(くぐしこ)も汽水湖ですが、満潮時には日本海から海水が逆流し塩水にもなります。
最後に日向湖(ひるがこ)です。ここは完全な塩水湖で魚類はタコ、クロダイ、ボラ、イワシなどが捕れます。どうですみなさん、こんな素敵な湖が案外近い所にあるのです。春先から初夏にかけて気候の良い時に是非ゆっくりと散策したいものです。
こんな魚がすんでいるのですよ。Imagined by Jun
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