2012年3月2日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス<標高301m>

アマン、ガマン、ゲロッポのお話 2 

もう少しでアマンは青大将のおやつになるのを逃れたのでした。でもアマンは今まで川の深い所に行った事はありませんでした。早い流れも経験したことも、冷たい谷川の水も知りませんでした。

驚いて手足をバタバタさせました。でも小さなアマンの力ではどうすることも出来ません。どんどん流されて行きました。早い瀬を転がるように流され、大きな魚が目の前に浮かび上がって来たり、空の上にはこわ〜いトンビが輪を描いて獲物を狙っています。

その時アマンは少し先に大きな滝があるのに気付きました。でもどうする事も出来ないまま、その恐ろしい滝にむかってどんどん流され、近づいて行ったのです。

あともう少しで滝に吸い込まれると思ったその時、何ものかがアマンの足を引っ張って大きな岩の後ろの比較的穏やかな場所に連れて行ってくれたのです。アマンは息が弾んで目もぼんやりとしていました。横でアマンをじっと見ていたのは、水中雨蛙のガマンでした。大きな岩の裏にある住み家で、虫の流れてくるのをじっと待っていたガマンは目の前を流れて行くアマガエルを発見しました。

水中雨蛙のガマン君

すいすいと潜水し、瞬く間にアマンの足をつかんで岩陰に連れてきたのでした。やっとアマンは気がついたようです。『ここは何処?あなたはどなた?』とガマンに聞きました。
『僕は水中雨蛙のガマンさ。もうちょっとで君はお陀仏だったのだぜ』『それを助けて下さったの?』『そうだ、足をつかんでここに引っ張ってきたのさ』。

『有り難う。もう死ぬかと思ったわ。でもどうして川に落ちたのかしら』『ああ、それはね木の上にいた青大将におそわれたのじゃない?さっき大きなヘビが周りを探し回っていたよ』

『こわ〜い』『もう大丈夫さ。空には青大将が最も嫌いなトンビのピンヨロさんが飛んでいるから向こう岸のヤブの中に隠れてしまったと思うよ』。アマンはほっとしてガマンにもう一度お礼を言いました。

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