2012年4月30日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高337m>


アマン・ガマン・ゲロッポのお話 17

ガマン君は水の底から探してきた、ひすい玉の内、三つをレンボリックさんのヒナちゃん達にプレゼントしました。カルガモのお母さんは、『私によく似合うわ』なんて言っています。


そしてもう一つをイモリの奥ちゃんに。残りの一つをアマンちゃんに渡しました。アマンがもらったひすい玉はとっても珍しいものでした。そこには「キャッツアイ」と呼ばれる猫の目の模様が入っていました。ほら皆さんも見た事があるでしょう。細いお米粒のような形をした、猫の瞳(ひとみ)を。

その「キャッツアイ」をなんとアマンはお口の中に入れました。ガマン君が、『アマン、それ食べ物じゃないぞ』と言っています。アマンは平気な様子でしばらくモグモグしていましたが、ガマン君と奥ちゃんの方を向いて言いました。

『私のお口の中にある、秘密のお部屋にかくしたのよ』『秘密のお部屋?』ガマン君も奥ちゃんも驚いて言いました。『そうよ、リスさんと同じ袋があるの。秘密の秘密のお・へ・や』『へ〜え、知らなかったな。ぼくにはそんなもの無いもの』ガマン君は少しふくれて言いました。

イモリの奥ちゃんは、手にしっかりとひすい玉を握って泳いでいます。周りはそろそろお日様が、山の陰に隠れてしまう夕方でした。

『じゃあ、僕たちも帰ろうか?奥ちゃん、またね』『アマン、きっとリンゴ園に行くからね』『ああ、待っているよ』そう言ってバイカモの揺れる小川にサヨナラをしました。

レンボリックさんのヒナちゃん達もお父さんの方に泳いで行くのが見えています。お母さんレンボリックさんは嬉しそうにお首の上にひすい玉をのせて泳いでいました。

『アマン、これからどうする?』とガマン君が心配そうに聞いています。『アマン、今夜もガマン君の石のお部屋に泊めてもらおっと!』『ええっ!良いのかい?ぼ、ぼくは良いけどさ』『ガマン君、私もうどこにも帰れない。あの大きなブナの木、怖い青大将が私を食べに来るんだもの』

二匹のアマガエルはピョコピョコと、もときた道を引き返して行きます。山の端に隠れる寸前の太陽さんが、二つの影を優しく照らしています。お空にはもう一番星が輝き出しました。



2012年4月27日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・早春の恵み <標高336m>


蕗の薹(ふきのとう)




今朝のからまつ林は雪がずいぶん融けていました
澄み切った水が小さな池を作っています

去年の秋に降り積もった落ち葉の中から蕗の薹が
あちこちに顔を出しています

腰にぶら下げた籐籠に早春の恵みを一杯摘むのに
ほんの半時間ほどでした 香り豊かな蕾ばっかりです

2012年4月26日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高335m>


アマン・ガマン・ゲロッポのお話 16

イモリの奥ちゃんは、長いしっぽをクネクネさせながら一直線にアマンのいるところまで泳いだのです。そしてポカッと浮かび上がりました。そこはアマンのちょうど横でした。突然黒い大きな長い生き物がそばにきたのを見て、アマンは『キャッ!!』と声を上げました。



『ごめん、ごめん。驚いた? 僕イモリの奥って言います。よろしく』イモリの奥ちゃんは小さな黒い目をして言いました。


『わ、わ、わたし・・アマガエルのアマンで・・す。ああ、驚いた』奥ちゃんとアマンはこうしてお友達になったのです。

ガマン君がそばにやってきました。『こんにちは、イモリさん。僕水中アマガエルのガマンです、宜しく』『ガマン君、呼んでくれて有り難う。僕は、この近くのリンゴ農園の淳爺のところにいる、イモリの奥です、宜しくね』『リンゴ農園?それってな〜に』。とアマンが言いました。

『アマンちゃんは、リンゴ知らないかい?』『ごめんアマン・・・知らないの・・・』『いいんだよ、そんなの知らなくったって。じゃあ今度僕んちへ遊びにおいでよ。リンゴ、見せてあげるよ』『ガマン君、行こうね、こ・ん・ど』。

そんなことになって、カエルとイモリはもうお友達になったのでした。

『イモリさんて、お腹赤いのね。とってもきれい』とアマンが驚いたように見ています。『そんなに見るなよ、恥ずかしいじゃん』イモリの奥ちゃんは恥ずかしそうにして手と足を使って小川の草むらに泳いで行きました。

葦(あし)や芹(せり)にくっついている藻(も)などを小さなお口でなめるようにして食べています。イモリの奥ちゃんは、小さな虫やミミズも大好物です。でもそれを食べているところをアマンちゃんには見て欲しくないなと思っていました。



2012年4月24日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・「色のImage」 <標高334m>


「鴇色〜鴇鼠(ときねず)」

さて色のImageの四色目は、「鴇鼠(ときねず)」でございます。秋の空が夕暮れ時を迎えて、それまでの青い空の色に、白いレースを一枚覆った色から、「鴇色(ときいろ)」に変化し、瞬く間に「鴇鼠(ときねず)」へとうつっていく。

この一瞬はなかなか見るチャンスが巡ってこない。ボクはこの変化を裏富士の夕暮れに見たことがあります。そこは河口湖でした。その美しい富士の稜線に見とれた刹那、もう朱色になりしばらくして藍色に変わって天頂が残照に輝いて燃え上がったのでした。


鴇鼠(ときねず) 

  

鴇色(朱鷺色)

あの瞬間の色が「鴇鼠」だったのかと思い出しています。トキの背の色を実際に見てみたいのですが、今はもう日本産の「朱鷺(トキ)」は20031010日、雌の「キン」が死亡したことで、絶滅してしまったのでした。

学名:ニッポニア・ニッポンでコウノトリ目、トキ科に分類されている鳥です。国際保護鳥トキについて調べてみました。「全長約80㎝、顔と脚は赤く、頭に細長い冠毛の束を持ち、体は淡いピンクを帯びた白色の羽毛でおおわれていますが、繁殖期には頭から背中にかけて灰色になります」と説明がされています。その繁殖期の背中の色が「鴇鼠(ときねず)」色と表現されている日本古来の伝統色なのです。

日本で絶滅したトキは一時、中国でも同様に絶滅したと考えられていたのですが、1981年に生きている事が確認され、温かい保護を受けて毎年ヒナが生まれ今日も増加しているのです。

中国政府より1991年、2羽のトキが日本に贈呈されることになったのです。それが雄の「友友(ヨウヨウ)」と雌の「洋洋(ヤンヤン)」でした。日本から野生のトキが消えて以来、28年が過ぎました。現在では中国政府より贈呈を受けたトキが子孫を残してくれています。

新潟県佐渡ヶ島、トキの森公園及び野生復帰ステーション観察棟には123羽(2008718日現在)が飼育されているのです。(佐渡観光協会HP

【さて昨日のニュースで自然の中に放ったトキに36年振りに子供が(3羽)誕生したとの事でした。暗い出来事の多い昨今、久しぶりに心躍る知らせでした。こんな朝は『春の日の花と輝く』を聴いて過ごします。

この随想は3年ほど前、「色のImage」というタイトルで日本古来の伝統色について書いたものです。たまたま「鴇色」の記事が残っていましたので新潟県に住む一人としてこのたびの慶事にあたりアップさせていただきました。】

2012年4月23日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアイカイブス <標高333m>


アマン・ガマン・ゲロッポのお話 15

アマンはレンボリックさんの可愛いヒナちゃんとお水かけごっこなどをして楽しんでいます。その間もお父さんレンボリックさんは、少し離れたところでじっとみんなの様子を見ているのです。

ここにもこわ〜い青大将もやってきます。そしてゲロッポ小父さんと決闘をしたヌートリアも水浴びにくるのです。でもお父さんはちゃんと隠れる場所も、逃げる草むらも用意しているのです。

ガマン君は水の中に潜ってなにかしています。ときたま浮かび上がってきては、そばのリリーパッドの上につかんできた小さな物を置いてまた水中にもどって行きます。アマンはそっと近付いてみました。

そこにはとっても小さな、キラキラ輝く石がいくつかのっていました。それは宝石のようでした。ガマン君はまたつかんで浮かび上がってきました。

『ガマン君これな〜に?』『ああ、これかい。これは翡翠(ひすい)玉だよ。(注1)』『ひすい玉?アマン初めて見たよ』『そりゃそうさ。ボクだってつい最近見つけたんだもん』。

ガマン君が言っていた秘密の場所とは、このひすい玉があるところだったのです。それは太陽の光があたると、色んな色に変わりました。まるでいつかアマンが見た虹の橋の色のようだったのです。

『ボクも一つ欲しいな〜』睡蓮(すいれん)の葉の上で、イモリの奥ちゃんはポツリと言いました。『お〜い、そこにいるイモリさん、こっちにおいでよ!』とガマン君が呼んでいます。



淳爺の睡蓮の咲く池 Imagined by Jun


イモリの奥ちゃんは、可愛い手をあげてガマン君に言いました。『そっちへ行っていいのかい?じゃ、すぐに行くからね〜』もう嬉しくってたまりませんでした。リリーパッドの上からスイ〜〜ッと一気に水の中にもぐりました。

勉強の部屋:翡翠(ひすい)(注:1

これは宝石の一種です。色は深緑をしていますが、透明です。中国や日本など東洋と呼ばれている国の人々に人気があります。古くは玉(ぎょく)とも呼ばれていました。

私が先日訪れた、インカ・アステカ展にも翡翠(ひすい)で作られたマスク(顔)が展示されていました。神秘的な(しんぴてき・不思議なかんじ)その輝きに感動しました。

(一部、ウイキペデイア参照)





2012年4月21日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・ぶらりご近所 <標高332m>



朝からとっても良い天気だったので JR信越線に乗って 黒姫まで「ぶらりご近所」としゃれこみました。雄大な黒姫山と妙高山がまだしっかりと雪をいただいて こんな近くに最高の場所があるのに感動しました

長野県信濃町が小林一茶の生まれ故郷(柏原宿)であり町の公園や個人のお庭にも句碑が建立されています 「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」という有名な俳句です
これらの句碑を探して歩くのも楽しい『文学散歩』なのです またご披露いたします




2012年4月20日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高331m>

アマン・ガマン・ゲロッポのお話 14

イモリの奥ちゃんは、この近くに住むリンゴ農園の淳爺(じゅんじい)がお庭の池で飼っているのですが、今日はお天気が良いので、細い水路を泳いでここバイカモの揺れる水辺のリリーパッドにやってきたのでした。

淳爺のところに来たのは、今からもう17年も前のことでした。その頃はまだイモリの赤ちゃんでした。山の奥にある小さな滝に棲んでいたのです。

大水がでた明くる日、そのイモリは滝の底の方からそばの砂山にほうり出されたのでした。良い気持ちで日向ぼっこをしていたイモリをヤマメ釣りにきていた淳爺がひょいとつまみ上げて、腰に下げた魚籠(びく)(注1)に入れました。

こうしてイモリの赤ちゃんは、淳爺に連れて帰られお庭の池に放されたのでした。淳爺は山の奥で捕まえたので、イモリの奥ちゃんと呼んで可愛がってくれました。

そうしてもう17年が経ったのです。小指の先ほどのイモリの赤ちゃんも今では、なんと15㎝をこえるような立派な大人のイモリに生長したのです。自分ひとりだけでどこにでも行けるようになりました。この前は水路を泳いで、ゲロッポさんちの水車小屋にも行ってきたのです。

いまイモリの奥ちゃんは、アマンやガマンをじっとながめていました。お友達になりたいな〜と思っていたのです。それもそのはず、イモリとカエルは同じ仲間なのですから。

勉強の部屋:(注1)魚籠(びく)

「びく」とは釣ったり捕まえた魚を入れておく籠(かご)のことです。昔の人はこれを竹であんで作りました。なぜ竹で作ったかと言うと、竹は風通しが良く、中の魚が傷んだり腐(くさ)ったりするのが防げたからです。色んな形の「びく」が作られてきました。そして今では竹でそれらを作る人(職人さん)が少なくなってきました。現在は、山梨県や岐阜県、岡山県で細々と作られています。



2012年4月19日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・今朝のよろこび <標高330m>


杉野沢から見る霊峰妙高山

雪は序々に融けている

ここにこうしてじっと立っていると

自分の体がお山に抱かれているのを感じる

気がつくと目を閉じて合掌している私がいた

(庵主:日時計日記より)

2012年4月18日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・今朝のよろこび <標高329m>



人知れぬ森の中に雪解け水でできた小さな湿地があります

きのう行ってみますと水芭蕉がポツポツと咲いていました

あと一週間もすると沼地にかわり たくさんの水芭蕉が

顔をだすでしょう 誰もここまで見には来ませんがね

(庵主の日時計日記より)

2012年4月17日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高328m>

アマン・ガマン・ゲロッポのお話 13


アマンやガマンたちのすむ水辺には初夏の風がさわやかに吹いています。アマンとガマンがやってきたバイカモの揺れる小川、どんなところでしょうね。ちょっとのぞいてみましょうよ。

あっ、アマンもガマンも美しい水辺で遊んでいますよ。きれいな花が一杯咲いています。ガマン君がこっちへおいでとアマンを誘っているようです。そこには生まれたばかりのレンボリックさんの子供たち(カルガモのヒナ)が水草を食べています。

『こんにちは!』とガマン君が声をかけました。ヒナちゃん達はちょっとおどろいた様子でアマンとガマンを見つめました。とっても可愛いお目々が、きれいなお水の中でまるで黒い宝石のように輝いていました。

『こんにちは!わたしアマンて言うの。アマガエルよ、よろしくね』『ぼ、ぼ、ぼくカリュガ・・モ、だじょ』。とレンボリックさんちの子供たちが、たどたどしい言葉で話しました。カルガモのお母さんは、お尻を振り振りゆるやかな流れの場所で泳いでいます。子供たちも重なり合うように近づいたり離れたりしながら、みんなで泳ぎの練習です。

アマンはそんな様子をじっと見ていました。アマンにはもうお母さんはいません。アマガエルは生まれてしばらくすると、お母さんから離れて行くのです。

『こんにちは、アマガエルのアマンちゃんて言うのあなた?』『えっ、わたしのことですか?』『そうよ、この小さな子ども達といっしょに遊んでやってね、お願い』カルガモのお母さんは優しくアマンに言いました。

アマンはガマンの方を見ました。ガマン君は手を水の上に出してパチパチと叩いてみせました。それは『良かったね』と言う合図でした。このようにして、アマンはカルガモのレンボリックさんたちと仲良くなったのです。

その様子をリリーパッド(注1)の上でじっと見ていた一匹の生き物がいました。黒い背中に真っ赤なお腹そして長いおしっぽ。ちっちゃいけれどクリクリ可愛い二つの目、そうですイモリ(アカハライモリ)の奥ちゃんでした。奥ちゃんもその仲間に入れてもらいたいと思っていたのです。


庵主:17年一緒に生活していた奥ちゃん

 
勉強の部屋:リリーパッド(注:1

リリーパッド(lilypad)とは、スイレン・ヒシモなど、葉が水面に浮く植物のことを言います。これらはいわゆる浮き草ではなく、必ず底に根を張り茎を持っています。強い日差しが水面の葉にさえぎられて、水中は陰となり水中の茎に身を隠すこともできるので、お魚さんたちの格好の住み家となるのですよ。



2012年4月16日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・ご苦労様 <標高327m>



この冬は12月10日から雪が降り出し4月7日まで降り続きました

最高の積雪時は2.5メーターはあったと思います

そんな雪も4月8日を境にしてぴたっと止みました

わが家を暖めてくれた薪ストーブも12月1日から4月10日まで

一日も休む事無く一所懸命働いてくれました 感謝一杯です

昨日は頑張ったご褒美に油を塗布しブラッシュアップしました

イケメンストーブに生まれ変わりこれから半年近くの眠りにつきます

ボクはこれから冬に向けて木こりの生活が始まります ではまた



2012年4月15日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・街角のコンサート <標高326m>


ピアノの原型のような楽器(揚琴・ヤンチンに似ている)

ヴァイオリン コントラバスなどが奏でる

風逢(かぜあい)のミニコンサート

頭上を南の国からやってきたツバメが翳め飛ぶ中

癒しの音色は街角から路地裏までゆっくりと流れて行く

(今朝の風景:庵主の日時計日記より)


2012年4月14日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高325m>

アマン・ガマン・ゲロッポのお話 12

お日様が優しくアマガエルたちを照らしています。『アマン、今日はボクの秘密の場所に行ってみないかい?』と水中アマガエルのガマンが言いました。

『秘密の場所って?』『とってもきれいな場所なんだ。そこにはね、カルガモ(注:1)のレンボリックさん一家が住んでいるのだ』『カルガモ? レンボリックさん?・・アマン行ってみたい』。

ここはガマン君が見つけた、とってもきれいな小川が流れている水辺でした。ちょうど今、バイカモ(梅花藻・注:2)が沢山水の中で揺れているのです。可愛いお花も一杯咲いているのです。

アマンとガマンは、青大将に注意しながらピョコピョコと進んで行きます。大きなひまわりの花が咲いています。早咲きのひまわりさんが、二匹のアマガエルを見て言いました。『そのさきに、“お砂糖の泉”(おさとうのいずみ)が湧いているよ、飲んで行くといい。とっても美味しいよ』大きな黄色いお顔がいつもお日様の方を向いて笑っています。

『ありがとう、ひまわりさん。お元気で』アマンは優しい声でこたえました。大きなひまわりさんのお顔が、アマンとガマンを見てまたアハハハハと笑いました。

強の部屋 カルガモ (注:1

クチバシの先端が少し黄色いのがこのカルガモちゃんのおしゃれなところ。他のカモさんはオスとメスの羽根の色などが大そう違っていますが、このカモはほぼ一緒ですよ。

日本全国どこにでもいます。マガモと同様に、地上を歩いて草の実をついばんだり、逆立ちして水中の水草をとったりするのです。皆さんは生まれたばかりの子供(ヒナ)が、親について歩いたり泳いだりしているのをみたことがありませんか? グエッグエッと愛嬌(あいきょう)のある鳴き声をさせてやってきましたよ。

ばいかも(梅花藻)(注:2

この植物は、とってもきれいな水の流れている川でしか育ちません。水の中で育ち、花を咲かせるので「水中花」(すいちゅうか)と呼ばれています。

7月〜8月頃に、梅の花に似た白い花を咲かせることから「梅花藻」(ばいかも)の名が付いたのです。

夏の最盛期には、直径1.5㎝ほどの愛らしい花が一斉に川面から顔を出します。近畿地方では、滋賀県の醒ヶ井(さめがい)の梅花藻(ばいかも)が有名です。

近江路観光ガイド>自然・花>醒ヶ井「梅花藻(バイカモ)」参照。

2012年4月11日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高324m>

アマン・ガマン・ゲロッポのお話  11

水車小屋にも朝がやってきました。ゲロッポ小父さんは早くから起きてなにやらせっせと仕事をしているようです。ガマンは小屋の外に出て、小父さんのお仕事を見ていました。小屋のそばにある水たまりに、なにやら小さな動く物が見えました。小父さんはそこに水草を運んでいました。


『ゲロッポさん、何をしてるのですか?』とガマンは聞きました。朝日を顔に受けてちょっとまぶしそうにしながらゲロッポさんは言いました。『メダカの赤ちゃんが生まれたのじゃ。それで住み家を作ってやっているのじゃよ』。沢山のメダカの赤ちゃんが泳いでいるのが見えました。しばらくするとそばにアマンがやって来ました。『おはよう、ガマン君』『ああ、アマンちゃんおはよう』『ゲロッポさ〜ん、お早うございます』。とアマンが大きな声で言いました。

『おはよう。アマンもガマンもよく眠れたかな?』『アマンはとっても』。そう言ってアマンは、ガマンを見ました。なんだかまだ眠むそうです。『ガマン君、まだ眠たいの?』とアマンが聞きました。『ウ〜ン、そんなことないよ、大丈夫さ』そう言ってガマンは目をこすりました。それもそのはず、ガマンは夜の間一度もねむることなくアマンを守ったのです。アマンはそんなことも知らずに、気持ちよく眠っていたのです。

ガマンは今日、あるところにアマンを連れて行ってやろうと考えていました。そこはガマンが見つけたとっても素敵な秘密の場所でした。いつもひとりで遊びに行っていたのです。

『ゲロッポさん、有り難うございました。とっても楽しかったわ、お蕎麦(そば)の粉も美味しかったし』。アマンはお礼を言いました。ゲロッポ小父さんは優しい笑顔で送ってくれました。ガマン君がバック転をしてお礼を表しました。

『またおいで。今度は柔らかいハコベを用意しておくからな』とゲロッポさんは手を振って言いました。『さようなら、ゲロッポさん、お元気でね〜』アマンとガマンは、振り返って背伸びして叫びました。


                                                                                              Presented by Jun

水辺にはアサギマダラもやってきますよ

アマンとガマンはきょうどこに行くのでしょうか



2012年4月9日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・早春の風景 <標高323m>


「妙高こしひかり」を植える稲田はまだ雪の下
黒姫山をバックに思いっきり雪を飛ばしている農夫


スキー場のゲレンデの圧雪・除雪に活躍した雪上車
その精悍な美しいフォルムは力強い助っ人
もっとビッグで重厚な車種は南極大陸昭和基地を走る

2012年4月8日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高322m>

アマン・ガマン・ゲロッポのお話 10

もう夜はずいぶんおそくなっていました。さきほどまで見えていたお月さまも山のほうに隠れてしまい、かわりにお星さまが沢山見えています。そろそろアマンは眠くなってきました。

朝から今まで生まれて初めての体験の連続でした。今夜はゲロッポ小父さんが蕎麦(そば)がらの寝床を用意してくれました。

『さあ、アマンもガマンもゆっくりおやすみ』そう言ってゲロッポさんは、芹(せり)の寝床の方に行ってしまいました。

アマンは蕎麦がらの寝床にうずくまりました。ガマンがそっと横にきて暖めてくれました。もうアマンは小さな寝息をたてています。ガマンはこれでも男の子、今夜はアマンを守らねばと考えていました。

アマンはそんな事も知らず、夢を見ていました。そこに出てきたのは優しいお母さんの姿でした。お母さんはそっとアマンに言いました。

『アマンや、お前は幸せだね。ゲロッポさんやガマン君、それにホロップさんまでお友達になれて。アマン、みんなに可愛がられるのだよ。それにはね、みんなに優しく、感謝する事だよ』そう言うとお母さんはす〜っと消えてしまいました。

アマンの目にあふれた涙がポロリとこぼれました。ガマンはその涙をそっと舌ですくい取ったのです。それはとってもいいスミレの花の香りがしました。

ガマンは大きくなってからも、その時のアマンの涙をいつまでも忘れなかったのでした。


Presented by Jun

ニホンスミレ アマンちゃんの涙の香りがしますよ




2012年4月6日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・In the morning <標高321m>





この雪はまだやまない 音も立てずただ黙々と

一夜にして全ての木々に雪の花をのせた

世は桜の下で宴を開いている多くの人々がいるというのに


暑さ寒さも彼岸まで よく聞いた先人の言葉であるが

彼岸から2週間が経つというのに季節は寒の頃にもどっている

稀有な4月の気象として記録に残り語り継がれるIn the morning





2012年4月5日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・台風一過 大雪再来 <標高320m>



台風並みの大風が吹いて 何本か木が倒れました

昨晩遅くから降り出した雪は 真綿を千切ったような大きな雪

これでもかこれでもかと畳み掛ける様な雪の洗礼



上の写真を撮った直後 ガスがかかって一気にミステーな

景色にかわって行く 山の天気の急変はかくもおそろしい






2012年4月4日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・標識(mark) <標高319m>



クロスカントリーの29番目の標識(mark) が家のすぐ傍に設定されている

土曜日、日曜日には家族連れや体験教室の皆さんがワッセラッセと

一列に連なって通り過ぎて行く ノルデイック・スキー独特の幅の細い

軽い板を履いて そのコスチュームもカラフルなスマートな格好だ

腰には小さな水筒 携帯や小物を入れるウエストポーチ

瓜(ウリ)を半分に切った様なヘルメットにゴーグルやサングラス

必ず近くで作業をしているボクに挨拶をして森の中に消えて行く

そのマナーは傍目に見ていてもとても気持ちがいいのである

2012年4月3日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・春への準備 <標高318m>


                                                                                                       Presented by Jun

なにも教えないのに 語らないのに 木々は己の為す事を知っている

冷たい雪や氷を自分の樹温で融かして春に備えている

この穴は直径に比べて深さは相当なものがあるのだ

今この辺りで雪の量は3メーターはあるから それに近い深さがある

慎重に歩いて行かないと 暗い時などはまり込むと大事になる

この穴からひょっこりとオゴジョなどが顔を出すと嬉しい

自然は全て自分の知恵と力で命をつないでいるのだ

「自助」「自立」「助け合い」そんな言葉を反復した今朝の森の中



2012年4月2日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高317m>

アマン・ガマン・ゲロッポのお話 9

ゲロッポ小父さんが、アマンとガマンに話しかけました。それは小父さんがアマンたちと同じ子供の頃のことでした。
ゲロッポさんは10年ほど前にこの水車小屋の近くの水たまりで生まれました。兄弟は全部で5匹いましたがそのうちの3匹は生まれて直ぐに死んでしまいました。
あとの1匹は今も元気で、ここから少し離れた泉のそばに棲んでいます。たった1匹の妹のトノサマガエルでした。

トノサマガエルは大きな強いカエルでした。ゲロッポさんもその様に、大きく強いカエルとして育っていきました。この水車小屋に住み出してもう長い年月が過ぎましたが、とっても怖い経験を何度もしていました。

青大将には何度も食べられかけたものでした。最も怖かったのは、あのヌートリア(注:1)との戦いでした。ヌートリアは大きなネズミのような生き物です。それはある夏の暑い午後の事でした。これからはゲロッポさんの話口調で再現してみましょう。

『ワシはその日、ここから少し上流の小川で体を洗っとったのじゃよ。その時すぐ近くの葦(あし)の蔭でガサゴソという音が聞こえた』。アマンもガマンも喰い入るようにゲロッポさんを見つめています。

『その時風が吹いてきてな、なにか獣(けもの)のにおいがしたのじゃ。それはみんなが怖れている、あのヌートリアじゃった』。アマンもガマンも初めてきく名前でした。聞いただけでもゾッとする名前でした。

『しかしワシは、そのけものに見つかってしまった。そいつは全身の毛を逆立てて、鼻のあたまにいくつもの筋をたてて大きな二本の歯をむいてうなりよった』。ゲロッポさんは、まるで自分がヌートリアになったかのように怖い顔をして見せたのです。

『きゃ〜、怖い!』とアマンは叫んで、ガマンの後ろに隠れたほどでした。ガマンも怖かったのですが、その名前の通り、我慢(がまん)していたのです。

『そのヌートリアはワシに向かって迫ってきよった。鋭い爪を立てて、二つのカミソリのような歯をこう剥(む)いてな。ワシはとっさに飛び上がって奴の後ろに廻ったのじゃ』。アマンもガマンも手に汗を握る感じでその話を聴いています。

『ところが奴もくるっとこちらを向いて真っ赤な大きな口を開けたのじゃ。もう少しで喰われるところ、とっさにワシは側にあった葦(あし)の茎を取るが早いか、それをそいつの口の中に差し込んでやった』『それで・・・どうな・・ったの』。ガマンが震えるような小さな声で聞きました。

ゲロッポさんは、一歩前に乗り出してこう言いました。『その葦の茎が奴のノドチンコに当たったのじゃ。たいそうなクシャミを始めよってな、ワシを襲うどころでなくなったのじゃよ』『よかった・・。おじさん』。アマンがガマンの後ろで小さな声で言いました。

『それからじゃ、ワシがヌートリアを怖くなくなったのは。あのノドチンコを葦の茎で突いてやれば奴らに勝つのじゃよ。お前達もよ〜く覚えておくのだ。きっといつか役に立つ時があるからな』そう言ってゲロッポさんは、横にある小さな泉の水をゴクリと飲みました。

勉強の部屋:ヌートリア(注:1)

この動物を見たことがある人、手を上げて!と言いますとほとんど手が上がらないのです。ヌートリアはビーバーに似た大型のげっ歯類なのです。簡単に言うとネズミの親分のようですね。

全体の大きさ(尻尾を別にした長さ)は43〜64㎝ほどになります。体重もなんと6〜10Kgにもなるようです。大きなオレンジ色の前歯はネズミと同じように伸びています。

棲み家は、湖や沼地や川の岸辺です。日本で一番多く棲んでいるところは岡山県といわれています。大阪・兵庫 京都・奈良などにも棲んでいますよ。寿命は6〜10年だそうです。毛皮はカワウソのように上質で以前は襟巻きに使われたとの事です。

人間に噛みついたり、悪ふざけはしないようです。飼育している人もいるとのことです。

食べる物は草が主ですが、魚やカエルなどを食べている所を目撃する事があります。