2014年11月30日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・地震の残して行ったもの(標高 1029 m)


【生き返った掛け時計】

部屋のどこからかボクを呼ぶ様な声がしている。
カチコチカチコチ・・・・はてなんだろう? ロフトの中に掛け時計はあるがとっくに動かなくなってもう2年はたつだろうか。
でも音はそれ以外の何ものでもない。そう思って時計の前に立ったとき『こんにちは、わたしですよ。宝塚の妹さんちからやってきた古時計ですよ』。そう言ったような気がした。本当に動いている。確実に時を刻んで生きているのだ。
『そうか、この子に生命を吹き込んだのは、あの地震だったのか』。1122日午後108分、この部屋には大きな揺れがやってきた。神棚のご神馬も榊も定位置から移動したのだ。掛け時計の『AICHI君』もきっと左右に強く揺すられて・・・そして長い眠りから目覚めたのに違いなかった。
地震の発生した時間に止まっている時計はよく見るが、動き出したのは珍しい。ゼンマイ仕掛けの時計だったからだろうか。




(写真は生き返った掛け時計、AICHI君。庵主 撮影)

2014年11月29日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・【男達の黄昏・・そして今(11)】(標高 1028 m)


【男達の黄昏・・そして今(11)】

 『もう、お構いなく。今日は先生にご相談があってまいったのですよ。』と哲じい。『キョウハ、オールメンバーデ、イッタイナニガアッタノデスカ?』と先生。『じつは・・・』と切り出して、哲じいが今日までの『黄昏斑』の経験してきた事の流れを説明したのです。

『オオ、テリブル!』と言ったのは傍で聞いていた奥様。庭で寝ていた大きなドーベルマンがのっそり起きあがって縁側に姿を現した。その面構えには『そんな泥棒ワシがひとにらみですくみ上がらせてやるわい』と言っている様であります。

 周さんなどは、こいつなら泥棒も恐ろしくて近づかないだろうと確信ににた気持ちでした。ドーベルマンはそのまま石の上で寝てしまいました。それは本当に寝ているのです。周さんは、さっきの確信が音を立てて崩れて行くのを感じて、愕然としたのだと後で話しています。早速、周さんが夕陽丘のマップを広げました。そして泥棒に入られた家の相関図を指し示しながら、『X』の意味するものを話し出しました。どうやら犯人の次のターゲットはこの『X』の文字の交差する当たりの家がそうだと推測する事を。

『クエスチョン、オーケー?』と先生。『ソノスイリガ、アッテイルカドウカハワカリマセンガ、ターゲットガ、マイホームダトハオモエマセンガ。』もっともな疑問、質問であります。他にも狙われている家があるのでは。『その通りです。まだ先生のお宅が狙われていると結論は出せません。しかしここに一つの重要なファクターがあるのですよ』と競馬予想屋の周さんが自信を持って立ち上がった。

 周さんはある一枚の資料をファイルより取り出しました。そこに書かれていたのは、今まで被害にあった家に飼われていた犬の種類でした。この数日間で彼は足を運んで聞き取り調査をやっていたのです。ところで中央競馬の話で恐縮ですが、先日の『桜花賞』のあの一着の馬。まずどの新聞も有力視していないのに周さんのコラム、『馬に聞け』の中にはしっかりと紹介してあるのでした。そこにはこんな文章が・・・。『今年の桜花賞は3強でほぼ決まりとの感がしますが、私はちょっと「?マーク」なんです。このライムライトという馬、気になりますね。血統的にはそう重視出来ないのですが、もう少しで地方競馬に売られる寸前、今の馬主に買われた強運の少女。私の好きなタイプです。ではまた』こうコメントされています。

 じっくり、しっかり調べ上げる周さんのスタイル、このようにして彼が絞り込んできた内の一つのファクター、それが犬の種類だったのです。13軒のお宅に飼われていた犬は、No.1にポインター、ビーグルなどの猟犬が5頭。日本犬が3頭、コリー犬が2頭、あとセパード、ブルドッグ、シベリアンハスキーの合計13頭です。どちらかと言うと大型犬、強いタイプの犬が多いのです。この関係から推理するとこの犯人は出来るだけ大きい、強い犬の飼われている家をターゲットにしているのではないか。ひょっとしたら愉快犯なのかも知れない。

先生宅の黒光りのしているドーベルマン、これはまこと凄い犬であります。ちょっと見いでは、黒豹(くろひょう)かと見間違えるほどの精悍さ。泥棒なんざ一睨みで間違いなく竦み上がる恐ろしさであります。このご近所に、大きな犬を飼っていて、塀が巡らされていて、そして昼間留守になるお宅は、どう見てもリチャード先生をおいて他にないのです。これはあくまで次回のターゲットに成りうる家の絞り込みであります。次回に侵入されるだろう家の一候補である訳で、その次もしくはまだ先の事かも知れません。でも早く犯人を召し捕らねば安心して生活が出来ないのです。

 そして徳さんは、その大きなリビングの中にあるミッキーマウスやポパイ、スヌーピー達の縫いぐるみが並んでいるのを見た時、これは犯人にとって喉から手が出るほど欲しいに違いないと思ったのでした。とは言え、リチャード先生のお宅に縫いぐるみがあるなどという事は犯人には分からないでしょう。外からはみえないのですから。たまたま偶然に侵入した家の中にそれらがあった、という訳なのでありましょう。

その時周さんは、ある事に気付いてあっと声を上げました。そしてこの事はリチャード先生の前では話さなかったのですが、後で彼の推理の一つの柱としてみんなの前に投げかけられたのでありました。

『エブリバデイ、アナタガタノオッシャルコト、アイアンダスタンドデス。』そう言って先生はじっと腕組みをしています。奥さんは不安そうな面持ちで先生の様子を眺めています。『タソガレ・パーテイーノ、ミナサマ、オネガイガアリマス。』『はい、何でもおっしゃって下さい』と哲じい。『ソレデハ、デス イズ・マイリクエストデス』そう前置きして先生は黄昏斑のみんなにこう話したのでした。


2014年11月27日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・森の不思議(標高 1027 m)


【森に残る緑の絨毯】

 妙高山も雪化粧をし、まもなく池の平周辺にまで降りて来ても不思議ではない今日この頃であります。そんな時森の観察を続けておりますと、目を見張るような光景に出くわす事があります。
 それは冬枯れの森に残る「緑の絨毯」です。まるでそこだけ砂漠のオアシスにも似た、小さなパラダイスなのです。どうしてここにこんな緑があるのだろう? ひょっとすると、「地熱」の影響かも知れません。


写真は2014.11.24 庵主 撮影
(庵主の日時計日記:自然と私)より

2014年11月26日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・【ちょっと一服】(標高 1026 m)


【アンパンは美味しいな〜】

 知り合いの農家さんより、小豆(あずき)と白豆(ササゲ)をいただいた。家内が早速アンパン(こしあん入り)を作ってくれた。妙高高原産の小豆を使ってのアンパン、掛け値なしに美味しかった。次は白餡(あん)入りのパンを作るようだ。豆を一鞘(さや)づつむいたのは結構疲れる作業だった。親指の爪の先が痛く黒くなったのも、今では思い出になってしまった。あとは白餡パンをいただくのを楽しみにしているボクであります。


甘すぎず、あっさりとした良質の甘さが嬉しい


桑の葉茶を飲みながらの小休止 アンパン一つで充分

(写真も家内が撮りました。レイアウトも上手くなったようです。庵主)

2014年11月24日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・【長野北部地震】(標高 1025 m)


【この度の地震は妙高市では震度5弱の揺れでした】

 妙高山麓は地下に岩盤があるので、地震の揺れはいつも数字より緩やかなのですが、昨夜の揺れは相当きついものでした。大切な神棚がカタカタと音を立ててご神馬が移動したり、三宝も位置を変えるほど。幸い稼働中の「薪ストーブ」は微動だもせず、さすが安全・安心設計であると再確認が出来ました。
 いまも震度1程度の余震は続いています。ここから4キロほどの新潟県と長野県の境いに「苗名滝」があります。豪快な滝で、日本百名瀑に指定されています。この滝の名前が「轟音を響かせながら落ちる様が「地震=なゐ」のようであるとされ、口語体に転化して「ないの滝」が「なえな滝」となり、「苗名滝」と名付けられた。と伝えられています。いずれにしても地下には多くの活断層が走っているこの地域、常に防災意識を持って生活する事の大切さを感じた地震でした。

震度5弱の地震にも安全だった薪ストーブ


信越県境にある苗名滝は日本百名瀑に選ばれている

 お見舞いのメール、コメント、電話を頂き心より感謝申し上げます。庵主