2015年5月29日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・緑濃き森を歩く(標高 1112 m)

いまこの森を歩かずして、いつ歩くや。
むせ返る緑に酔いながら、それはまるで「さまよい人」のごとく
木々の合間を辿って行く。
聞こえるものはカッコウとツツドリの鳴く声のみだ。

空にひと刷毛の雲が裾を靡かせて漂っている。
まるで天駆ける神の痕跡のように。

2015年5月25日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・初夏の風(標高 1111 m)

【シャガが咲いてカッコウがないて初夏がきた】

 信仰の友よりいただいたシャガ・姫シャガが咲いた。この花に出会う度に思い出すことがある。それは宝塚の家の庭でメダカを飼っていた頃、毎日のように子供が孵化し、髪の毛ほどの細いメダカを掬っては別の鉢に移してやった。小学校に通学する子供たちが毎朝見て通って行った。近所のおばさんが、容器を持ってメダカを貰いに来てくれる。伊勢参りの土産の赤福を嬉しそうに置いて帰って行った。

 養護学校に通っているお兄ちゃんと妹が、玄関先で大きな水槽の中をじっと眺めていた。ボクがあめ玉を差し出すと、恥ずかしそうにしてポケットに仕舞い込んだ。妹さんがクラスの授業で作った小さな亀のマスコットを下さった。そんな思い出の中にも、シャガの花が揺れていた。あの子たちは元気にしているだろうか。今朝の祈りの中に二人のことをお祈りした至福のひととき。




(写真は姫シャガ:2015.5.24 庵主撮影) 

2015年5月22日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・苗名の瀧(標高 1110 m)

【苗名の瀧・雪解けの頃】

 今年の早春もMr.Gorouが拙宅に来られた。一晩滞在されてその間、苗名の瀧の写真を撮りに出掛けられた。氏の写真はスケールが大きく、その迫力は自然の持つパワーに、正直たじろぐ程である。

 苗名の瀧を撮った一枚を残して帰られたので、ここにご紹介させていただく事にした。雪解け水を集めた瀧の轟音が聞こえて来るようである。


2015年5月18日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・おお怖や(標高 1109 m)

【おお 怖や 鎌首もたぐ マムシグサ】

 森の中を歩いていると、新鮮な驚きを感じる事がよくある。薄暗い中で足下にこのマムシグサ(蝮草)を見るとき、どきっ!とするのは私だけではないだろう。
この仲間(テンナンショウ属)は30種余りもあって、一部を除き、変異が多く中間的な形質を示すものもあるため、区別が困難な種類だそうだ。

 地下の偏球形の地下茎はイモ状で有毒です。そのまま食べると胃腸障害や麻痺などを惹き起します。ただし、毒抜きすれば食用にできるとされますが、一般には危険です。地方によっては、茹でて何度も水に晒すなどし、臼で突いてモチのようにして食べるとのことです。 よほど食料がなくなった時以外、手を出さない方が良いでしょう。




(写真は谷内畑の森にて写す。2015.5.17 庵主)

2015年5月16日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・遠征(標高 1108 m)

【待っていてくれた逆瀬川の友達】

 数日間、兵庫県宝塚市に出掛けていました。朝早く起きて、水辺の生き物の宝庫とも言うべき逆瀬川を散策しました。都会の真ん中を流れる河川に、豊かな生態系が残されていると言う点では稀有な存在でしょう。

 その中でもとりわけ立派な水鳥の「アオサギ」は、何時見てもほれぼれします。じっと水面を見つめて立ち尽くしている姿は、まるで仙人のようです。ボクがカメラを向けても、微動だにしません。「平常心是れ道」と教えてくれているようでした。




(写真は2015.5.14 宝塚市逆瀬川 アオサギ。 じっと小魚の動きを見ています。ロックオンと言う言葉がぴったりの様子です。)

2015年5月10日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・春の山菜・2(標高 1107 m)

【焚くほどは 風がもてくる 落ち葉かな】 良寛

 この句の意味は、『私が庵で燃やして煮たきするくらいは、風が吹くたびに運んでくれる落ち葉で 十分間に合うことだ。だから私にとっては、この山中での暮らしは物に乏しくとも満ち足り ていることよ。』であります。

【出典】、角川ソフィア文庫 松本市壽編「良寛 旅と人生」

 きのうも夕方、周囲の森の中を散策して、「たらの芽」と「ゼンマイ」を収穫させてもらった。必要なだけ、少しあれば、それで満足。『また来年も顔を見せて下さいね。君たちと会える春の日を楽しみに、一年を過ごしています。有り難うございます。お礼にほんの少しですが糠(ぬか)を蒔いておきます。』こんな会話を交わしながら夕暮れの森に別れを告げました。マインヒュッテ 庵主


2015年5月7日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・香(かぐわ)しき緑(標高 1106 m)

【この緑はどうだ!!】

 秋に金の針を降らせた落葉松に、若い緑の新芽が吹き出して来た。触ってみるとまだ軟らかく、肌を刺すほどの剛健さはない。それでも針葉樹独特の、「脂(ヤニ)」の匂いがプンとした。

 落葉松の新芽が吹き出す頃の我が家では、電波障害が起きて、テレビが上手く写らないのが春の訪れを感じさせるバロメータでもあった。今では地デジになってそれはなんとかクリアー出来た。

 いま落葉松林を歩くとき、自分の全身が緑化されて行くのを感じる。五官の全てが緑や碧に染まって、周りの空気さえ緑色を溶かし込んで、落ち着いた安らぎを与えてくれるのである。高原地域には落葉松が白樺とともに似合いの樹木である。白樺は広葉樹の仲間であり祝い事に縁があり、落葉松は軽井沢の別荘地にその本来の存在感を見る事が出来る。即ちトラデイショナル・ウッドなのであろう。




(写真:2015.5.6 爽やかな春の日差しの中で 庵主 撮影)

2015年5月5日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・山菜の出番(標高 1105 m)

【最後の蕗の薹とアサツキの収穫】

 雪がとけてしまって、蕗の薹もこれが最後の収穫となりました。傍にアサツキが出ていたので、一緒に摘んで来たのです。アサツキはネギの代わりに使います。根っこの球根は、皮をむいて奇麗に洗って、味噌を付けて生で食べます。鼻に抜ける香りと舌を刺すピリ辛感覚が、ちょっと寝ぼけた気持ちを覚醒させてくれます。

 ピリ辛が嫌いな方は、4〜5個を一つにまとめて天ぷらにすると、そのホクホク感が何とも言えません。春の山菜は、冬の間体内に滞った「毒消し」の役目をするとの事です。熊なども山菜をバクバク食べて、体内の毒素を一掃するそうです。



2015年5月3日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・通りゃんせ(標高 1104 m)

【とおりゃんせ】


               通りゃんせ 通りゃんせ
               ここはどこの 細道じゃ
               天神さまの 細道じゃ
               ちっと通して 下しゃんせ
               御用のないもの 通しゃせぬ

               この子の七つの お祝いに
               お札を納めに まいります
               行きはよいよい 帰りはこわい
               こわいながらも
               通りゃんせ 通りゃんせ

 (江戸時代から伝わる童歌(わらべうた)を思い出しながらシャッターを切りました。この雪のトンネルをうまくくぐり抜けて戻って来る事が出来れば、きっと良い事がやってくるかも? ちなみにボクはギリギリ、セーフでした。雪かきと樵(きこり)の生活でダイエット効果がでたものと喜んでいます。)庵主

2015年5月1日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・作業開始!!(標高 1103 m)

 妙高山麓の森の中にも春がやって来ましたよ。雪も溶け、隠れていた薪材も姿を現しました。去年の初冬、知人の庭先の樹木が、大雪で倒れる危険があるのでやむなく伐採する事になったそうです。倒れかかって電線が切れると大変なことになるので、電力会社に切ってもらったようです。

 お庭の清掃も兼ねて、この薪材を頂く事に成りました。これから樵(きこり)の仕事が始まります。【春来たりなば、冬の準備を】がボクのモットーです。どうか皆様 お元気にてお過ごし下さい。マインヒュッテ 庵主