2012年1月31日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・豪雪の日々 <標高271m>



大雪の中 ひとときの晴れ間を

雪の壁に添ってゆっくりと歩く

例年の倍の積雪量

獣も鳥もその姿を見せない

この道を300メーターほど歩くと

人間の足では踏み込めない森となる

Report by Jun 

2012年1月30日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高270m>

連載小説【あり地獄】4

朝になって宇野のマンションには新聞記者や派の幹部達が集まって来ていた。ベルを鳴らしても何の応答もなかった。地下駐車場の宇野の車がなくなっている。すわ、有能な市会議員の失踪事件か!!

当人宇野は独身であった。両親はもうこの世にいない。ある面では天涯孤独といっても過言ではない身の上である。

そのころ、あのクラブで宇野と会っていた男達も全く予期せぬ展開に困り果てていた。いずれ警察が動き出した時、自分たちに捜査の手が伸びて来るのは必至であった。あの時なまじ現金を渡した事が命取りになるかも知れなかった。上層部にも迷惑がかかる。自分の立場を考えた時、男の龍の彫り物に戦慄が走った。

宇野と常に対峙している市会派閥の男達も、鬱陶しい雰囲気に包まれていた。今回の件には直接関係はないのだが、いずれは警察の事情聴取は間逃れまい、あくまで参考人としてではあるが。かかわりのある者たちは再来年の選挙が近いので困惑していた。一体宇野議員はどこにいるのだろうか。彼の動静は、生か、はたまた死か。思惑が縺れに縺れて、この事件は迷妄の奈落へと落ち込んで行く。

宇野はその頃、日本海沿いに車を北に向かって走らせていた。衣服は今着ているブルゾンとズボンそれのみである。まさに着の身着のままの外出である。これは外出といった軽々しいものでは決っしてない。彼にとっては、逃避行である。何から、何に向かって逃げているというのだろうか。自分の体の深奥からブツブツと吹き上げてくる黒い影のような恐怖心からであろうか。

高速道路の周りの景色すら全く目に入らなかった。途中、パーキングエリアに車を止めた。ゴルフに出かける時よく被る、深めのハンチングをより深く被って外に出た。海はどんよりとした黒い雲に覆われて、海岸には高い波が崩れ落ちている。

トイレに入り、それとなく鏡の中の自分の顔を見上げた。目の縁に黒いクマが出来ている。哀れなほど窶れた顔が自分を見つめている。白髪がずいぶん増えたような気もする。トイレを出て、お茶を買おうと自動販売機の前に立った。サイフから小銭を出して入れるとき、初めて金の事に意識が繋がった。

いつものサイフを探すも・・・無い。ズボンのポケットにも入っていなかった。車の中に残して出てきたと思い急いで車に戻る。ダッシュボードの中にも、後部座席にもそれらはみつからなかった。車はETCカードで走ってきている。幸い銀行カードが一枚、ある隠し場所に入れておいたのを思い出した。

一つの問題があった。それはいつもサイフに入れてある、健康保険証と運転免許証が無いことであった。ただそれらは、今すぐ必要な物ではない。当面の行動は、この銀行カードがあればなんとかなる。宇野信二はアクセルを踏んでゆっくり車を発進させた。それと同時に白い車が走り出したのを宇野は無意識のうちにバックミラーに確認していた。

もうどのくらい走って来たのだろう。新潟県に入って今や福島県の手前まで来ていた。もう陽は山の端に沈み、夜の闇が迫っていた。秋もいよいよ深まり、北の景色は初冬の佇まいである。宇野は新潟中央JCTから、磐越道に入り会津若松でゲートを出た。見知らぬ土地のためか、より慎重に運転をした。まして免許証不携帯である。尚更の事であった。

駅に近いビジネスホテルに車を止め、足早にホテルのカウンターへ入って行った。五分ほど遅れて二人のビジネスマン風の男がホテルのエントランスに着いたのを宇野はまだ知らない。

2012年1月29日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・最近にない豪雪 2 <標高269m>

【深夜1時半 いざ出動!!】

眠りについてしばらくした頃

階下ではなにやら話し声が聞こえる

『ちょっと積もりすぎや 今から出るは』

『暗いで 危ないからやめとき』

『一晩1メートルのペースで降っとる 仕方がない』

装束を整えて息子と家内が出て行った

ボクも眠い目をこすりながら スノーシューを履く

屋根から雪の固まりが落ちないかの監視だ

周りの大木が雪を目一杯羽織って私たちを見ている

『福島の原発の作業現場はもっと過酷だぜ』

木々がそんな声を掛けてくれる気がして

ショベルを持つ手にぐっと力が入った

今 2012年1月29日 夜中の1時45分

長い人生の中でも記録に残す価値ある一瞬であろう


2012年1月27日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・最近にない豪雪  <標高268m>


26日、27日と降り続いている雪は最近にない豪雪です

妙高市関山(拙宅より車で20分)では298センチの積雪

上信越道は信濃町(長野)〜中郷(妙高市)まで通行止め

JR信越線は黒姫〜直江津まで除雪作業のため運休

一晩で1メートル近く積もる雪は除雪が追いつかない

それでも我が家では足で踏んで圧雪しショベルで除雪します

明日はどうでしょうか?雪も一休みしてくれませんかね

2012年1月26日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・ 言葉のアーカイブス <標高267m>

連載小説【あり地獄】3

その日以来、宇野の心の中にはいつも黒い雲がかかった様な暗澹たる思いが支配していた。携帯が鳴っただけで体がびくっと反応する。夜、なかなか寝付けない。普段飲まない酒が、ここにきて知らない間に増えている。酒の力を借りて眠りに就こうとするのだが、妄想は留まるところを知らず次から次へと自分の将来の姿を映し出していく。

夜中に寝汗をびっしょりかいて、はっと目覚める日が多くなった。以前のように仕事に全力投入出来ない。加えて体がだるく重たい。いわゆる切れが無いのである。それもその筈、いつからか食欲がなくなった。この前同僚と職員食堂で昼食を取った時も、宇野はほとんど手を付けなかった。同僚はそんな彼を見て驚き、一度医者に診て貰う事を進めてくれた。

先日も風呂に入った時、自分の体を見て唖然とした。学生時代からスポーツで鍛えあげた自慢の筋肉質の体であったのが、その鏡の中に見たものはあばら骨が浮いた、げっそりと窶れた病的な別人のそれであった。

自分の中に何かが忍び寄っている事実を宇野は明確に感じたそのとき、目眩がして彼はマンションの床に崩れ落ちたのであった。何時間が経過したのだろうか。宇野はうっすらと目を開いた。カーテンの隙間から日の光が差し込んでいる。今日が何日で何曜日なのかすぐに理解出来なかった。それほど深く眠っていたのだ。

腕時計を何気なく見た時、彼は全身に冷水を浴びせられたかの様な衝撃を感じた。10月12日、木曜日。午後2時35分。この日はまさに彼が派を代表して市長に質問する極めて重要な市議会の日であった。

それは午前10時からであった。とっくにその時間は過ぎていた。当然市議会は彼が出勤して来ない事に蜂の巣を突いたような騒ぎになった事であろう。自分の携帯を引き寄せた。まんの悪い事に電池が切れている。同僚からの連絡が入る術もなかった。

誰かがこのマンションを訪ねてくれたのかも知れなかったが、宇野はその頃、意識不明であったはずだ。いずれにしてもこうしてはおれない。ただちに出勤して、対策を講じなければ彼の今後の議員生活はこれで終わりを告げるかも知れなかった。

市議会の開催当日に、質問者が無断欠勤するなんて事は前代未聞であった。今夜の夕刊には活字が踊るであろう。それを考えると宇野はどう対処して良いか分からなかった。完全にパニックに落ち込んでいった。

しかし気持ちは焦っても、体が動かなかった。なんとか起き上がろうとしてみたが睡魔が容赦なく彼を襲った。その後目覚めたのは夜中の2時過ぎであった。宇野は重い体を引きずるようにして地下の駐車場に降りていった。

車に乗り込んで、静かに前進した。後ろでフラッシュが焚かれたような気がしたが、そのままスピードをあげて高速道路のゲートをくぐった。どこに行くと言ったあては何もなかった。ただ朝がくるのが怖かった。自分の許容範囲を超えた何かがきっと起こるであろう。今はその恐怖心から逃れたい一心であった。

2012年1月25日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・ パソコン工事中 <標高266m>

【雪下に待つ早春】


パソコン工事中のため 早春の息吹をお届けします

クレソンのゆらぎ Presented by Jun

2012年1月24日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ 言葉のアーカイブス<標高265m>

連載小説【あり地獄】2

どこかで黒い影が蹲っている。何かが起ころうとしているのだが、それが何なのかぼやけていてハッキリしない。宇野信二はこのところ結構忙しくしていた。市会議員になって今回で期目であった。中堅という立場でそれなりの役どころにも付き、周りから一目も二目も置かれていたが、それだけに敵も多かった。

今回の調査も、彼の住まいしている市にとっては極めて重要な案件であった。どこの市町村でもこのゴミ処理に関しては問題山積みである。ゴミの処理を円滑に行うことは誰しも願っている。しかしその処理場が自分たちの居住区の近くにとなると、みんな口を揃えて反対を唱えるのである。
理由は、『ゴミ』と言う言葉の響きである。アレルギー現象だ。加えて車の通行量の大幅アップであろう。子供たちの通学時に危険が伴うといった理由がそれである。今日の技術では焼却による悪臭はほとんど出ないが、夏場などに処理場全体が発する臭いは風向きによっては何となくそれと分かるのも事実である。全国の自治体のクリーンセンター(ゴミ処理場)では、焼却の際に出る熱を利用して地域周辺住民にたいし、温泉施設や温水の提供をしている所もある。周辺住民へのせめてもの感謝とサービスであろう。
それはさておき宇野は若手の協力も得て、市議会での議論になるであろう新しいゴミ処理場の諸問題をまとめ上げた。再来年の春には地方選挙も行われる。彼にとっては今がまさに正念場でもあった。
そんなある日、役所のトイレに入っていた宇野は、ある話を聞くとはなく耳にした。他派閥の男が二人、何やら声をひそめて話している。それはこの市にある、有名私立中学校の事であった。『不正入学』といった言葉と、ある男の名前が断片的に聞こえてきた。
なんとなく聞き流していたのだが、その時宇野の胸中にはあのクラブでの不可解な出来事が思い出された。あれ以降男達からは何の連絡もない。完全にその話は宇野の脳裏から消えていたのである。それが今、ムクッと起きあがってきた。ぞっとして、一人トイレの中で、目を閉じて動揺を抑えようと試みた。あの時手にした茶封筒はそのまま机の引き出しにしまっておいた。
トイレを出た時さっきの男達はもういなかった。声の主がどこの誰かと言う事は仕事柄判明した。悪い事に、宇野とは主義主張が異なっている会派のメンバーである。何かあるとしつこく反論してくる中堅幹部であった。
今の話はうわさ話の域を出ない、唯単なるよた話しかも知れなかった。そう考えて自分の心の動揺を鎮めようと努めた。しかしそれならあの男の名前が出るのはどう考えればいいのだろうか。その時耳にした男の名前とは、クラブで会った男達の上層部に繋がっている、ある組織の大幹部の名前であったのである。

2012年1月23日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高264m>



 人間は考えようによってはまことに弱い存在であります。特に金銭が絡むと今まで周りの人から尊敬の眼差しで見られていた人でも、つい間違った道に迷いこむ事があるもので。この話は人間が「あり地獄」に落ち込んでいく様子を描いてみたつもりであります。筆者の周辺でも日常見聞きする出来事であります。ただしこれらは全てフィクションです。そのおつもりでどうぞ。

              連載小説【あり地獄】

 ここは街の繁華街、すずらん燈が灯り結構賑やかな夕方、三人の男がクラブのドアーを押した。物語はここから始まっていく。先を歩く男は、50才くらいでしょうか、洒落たブレザーを着こなして煙草をくわえている。続いて40代後半の男性、胸を張って入っていく。最後に30代半ばの若い男。ジーンズに鳥打ち帽姿、それぞれに個性的な風貌である。

 一番奥のテーブルにつく。ママが一通りの飲み物を持ってきて若い女の子を座らせる。ここからは、ドラマ仕立てで進めてまいりましょう。

 『お久しぶり、どうしてはったん?』『そういやあ長いこと来てへんな、ボトル流れてしもたんとちゃうか』『あほらし、そんな事しますかいな。ほらこれでっしゃろ』『ほんまや、残ってるがな』『こちらさんも、まあどうぞ』そう言いながら40代後半の男性に水割りをすすめる。『ほな先生まあ、とりあえず乾杯といきまひょか』。和やかに乾杯が済み、男がママになにか耳打ちをする。ママは、すっと席を外す。連れて若い女の子も同様に店の奥に消えた。

 『先生、きょうはお忙しいのにすんまへんな』『いや、うまい具合に会合がのうなったんや』『そうでっか、ゆっくり飲んで行っておくれやす。おい樋口、先生にお注ぎせんかい』『すんまへん。さあ先生どうぞ』『じゃあ、少しだけ』そんなやりとりが小一時間ほど続いた頃、男がこんな話を始めた。

 『先生、この前えらい世話になりました、おおきに』『ええ、なんの話ですかいな』『ほら、篠塚はんとこの息子さんの学校の件ですがな、お忘れですか?』『どやったかいな』『先生によろしゅうお頼みしたんお忘れでしたか?』『それで、その息子さんがどうかしはったん?』『いやお陰さんで、通りましたんや学校。篠塚社長もえらい喜んではりましたで』『そりゃ、よかったな』『お力お借りして、ほんますんまへなんだ』『私はとくに何にもしていないが』『そんなご謙遜を。いや、守口も言うてはりましたで、あれは先生のお陰やゆうて』。

 先生と呼ばれている男、どうも腑に落ちない顔つきではあるが、その息子が通ったと聞いてホットした様子だ。男が若い衆に何か指示している。カバンから茶色の封筒が取り出される。そしておもむろに、男がこう切り出した。

 『ちょっと遅なってすんまへん。お礼も言わんと』『そんなん、関係ないで。ほんまなんにもしてないんだから』『なんかお礼をと思たんですけど、これすんまへんけど納めてもらえまっか』『これて、なんですか?』『ほんのお礼の気持ち!ただそれだけですわ』。先生と言われている男、その茶封筒を手にとる。『これ、ひょっとするとお金ですか?』『いいえ〜な、物買う時間もおまへなんだよって、これで堪忍しておくれやす』『これは、困るは。まずいよ』。先生と呼ばれている男、そう言っていかにも困った様子。

 『先生、もう難しい話し止めまひょ。お互いに大人や、そうでっしゃろ』。男はそう言いながらワイシャツの袖をまくる。背中から続いている龍の彫り物の足の部分が、痩せた腕の血管を浮かべておどろおどろしい。先生がそれにチラット目を走らせる。『わかりました。私としても心苦しいが、今日のところはお預かりすると言う事で』『そんな杓子定規な事いいなはんな、僅かなもんでっさかい』先生は封筒の中に目をやり少し驚いた様子で、『50ですか?』『さいでおま』そう言って男はおもむろに手を叩いてママを呼んだ。

 『先生お忙しいのでお帰りやそうや。ハイヤー呼んでんか』。ハイヤーが来て先生は帰って行った。『さあ、飲み直しや、おい樋口、ちゃんとやったんやろな?』『へえ、言われた通りこのテープに』『それちゃんと録音(とれ)てんのやろな』『そら大丈夫です。ソニーだっせ』『それが一番危ないがな、きょうび』。

(続きます)

2012年1月22日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高263m>

【宮中歳時記】

第六十二回、神宮・式年遷宮諸祭について

平成17年 6月 御杣始祭(みそまはじめさい)


ご用材を木曽の御杣山で正式に伐りはじめるお祭りです。長野県上松(あげまつ)町で行われました。

平成17年 6月 御樋代木奉曳式(みひしろぎほうえいしき)

ご神体をお納めする[御樋代]のご用材を両宮境内に奉曳する儀式です。

平成17年 9月 御船代祭(みふなしろさい)

御樋代をお納めする[御船代]のご用材を伐採するお祭です。宮城内で行われました。

(伊和志津神社宮司への聞書きによりました。有り難うございます。)


Presented by Jun

2012年1月21日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・木彫りの干支 <標高262m>


今年の干支 木彫りの辰をいただいた

桐箱をあけると素敵な香りが漂う

可愛い辰の置物は楠の木を彫ったものか

彫り師の優しい心が鑿あとに残っている

龍神の御守護で一年が平穏であるよう祈念した

感謝 合掌

2012年1月20日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・九州の香り <標高261m>

【晩白柚(ばんぺいゆ)】


頂き物の晩白柚、ミカンの大きなサイズど比べて見てください

晩白柚(ばんぺいゆ)の名前の由来は、晩(晩生※熟期が遅い)・白(果肉が白っぽい)・柚(中国語で丸い柑橘という意味)です。
その由来は古く、大正9年に晩白柚の産地(熊本の氷川)出身の植物学者 島田弥一氏が、現在のベトナムの船上で食べた柑橘があまりにも美味しくて、サイゴンの植物園から株を分けてもらったのが起源のようです。
但し、当時は栽培法がわからず、普及には至らなかったようです。その後、昭和5年に台湾から鹿児島県果樹試験場に株が導入され、最適産地の八代市地区に根付いたようです。

との説明でした。大人の顔くらいあるでしょうか? 直径20センチで重さも2Kgほどあります。玄関に飾ったあとは、皮はむいて晩白柚漬け(ゼリー)にします。果肉はじっくりと味わいます。

2012年1月19日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・今朝の一押し <標高260m>

【厳寒の妙高山】



イモリ池入り口より妙高山頂を望む

3メートルほどの雪の壁だが案外暖かい

『さあ、これから頂上アタックだ!』

『庵主さん 無理でっせ 胸まで雪に埋まりますよ』

『ほなやめとこか 君子危うきに近寄らずやさかいな』

『それより山を見ながらビールでもどうです』

『そうでんな ではそちらにご一緒しまひょか』

なんて軟弱なボクでありました

12.1.18 Presented by Jun



2012年1月18日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高259m>

【宮中歳時記・一月の宮中行事】 

皇居の野鳥

皇居は、野鳥にとっても、都内で残された数少ない楽園のひとつです。先帝陛下(昭和天皇)は、野鳥の住みかが次第に少なくなっていくのを心配されていました。このため、以前から数多くの巣箱が皇居の樹林の中につけられたのです。

その数は、約二百五十。シジュウガラ用、ムクドリ用、オシドリ用と、大きさで三段階に分けられていました。これらの巣箱は、シジュウガラとオシドリがその多くを使用していましたが、そのほかスズメなどの鳥もこれを住みかとしているのです。

それだけではありません。皇居内には、野鳥が好んでついばむ実のなる樹木が数多く生えています。

皇居内には多数の濠(ほり)があって、野鳥に格好の水飲み場や水遊び場を提供しています。そのなかでも、吹上御苑内にある大滝から流れ出るせせらぎは、苔むした岩々や小石の間を流れて、野鳥の最良の憩いの場となっているのです。

この大滝は、高さが約10メートルもあって、六代将軍徳川家宣のころに建てられた滝見の茶屋(現在の観瀑亭)から、はるかに眺めることができたほどに古い歴史があって、今も夏にはホタルが飛びかい、晩秋にはカワセミが石の上でコバルトブルーの背を見せながら一休みしているのです。

こんなに、居心地のよい環境であれば、居着く野鳥もふえるのは当然のことでありますが、そのうえ季節になると帰るべき渡り鳥が居座りを決め込むような「無法者」も出てきてしまったのです。

皇居の中も通勤電車なみのラッシュを迎えようとしているのです。さらに困ったことに、この数年来、外来者のインコまでが、集団をなして飛び回っています。

なにしろ声高に巨木の梢から梢へとたいへんなスピードで移動するものですから、その正体がつかめなかったが、やっとこのごろ、ワカケホンセイインコということがわかったのです。南方からの闖(ちん)入者ということになるわけです。(入江相政著・宮中歳時記謹載)



2012年1月17日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・忘れない阪神淡路大震災 <標高258m>


平成7年1月17日 午前5時46分

阪神淡路大震災が襲ってきた

屋根から瓦が落ちる轟音

柱がきしみ家具が倒れ

家族同士大声で呼び合うなか

着の身着のまま外に飛び出した

揺れる地面 無数の亀裂から 

水やガスが漏れる臭い

見たこともないほど大きな太陽が

赤黒い不気味な色をして空にとどまっていた

あれから17年 東日本大震災が発生

人生を大きく変えてしまう大災害

今朝も慈母観音のお姿をみて

ひたすら祈っています

悲しみにくれている人々の上に

暖かい灯りと心の安らぎが

そして今日一日の糧が与えられますよう

                        合掌 庵主















2012年1月16日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・癒しの街角風景 <標高257m>


季節の花々が咲きこぼれる北欧の郵便局

お茶のできるテーブルと花を積んだ自転車

中世の香りの残る癒しの街角風景でした

presented by Jun

2012年1月15日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高256m>

【宮中歳時記・一月の宮中行事】 

一月の皇居のことなど

一月は、睦月(むつき)であります。親戚、知人が相睦み合う月であって、またの名を初春月(はつはるづき)、年端月(としのはづき)、初空月(はつそらづき)とも呼びます。

春は、四季の初めとされています。だから春は発(はる)のことで、草木が萌え出ずる時季とされています。しかし一月は、まだ寒さが厳しくて、皇居内の草木が萌え出ずるところまではいっていないのですが、それでも早々と咲き出すものもあるのです。ロウバイが、その最初であります。牧野富太郎博士の説によりますと、ロウバイはロウバイ科の落葉樹で、漢名の「蝋梅」の音読みから名付けられたものだとされています。

原産地は、中国の湖北、雲南地方などで、後水尾天皇(在位1612~29)の時代に我が国に渡来したものであるとの事です。薄黄色の香りのよい花をつけるので、昔から庭木として珍重されています。

先帝陛下の「おしるし」は「若竹」でありますが、これはカンチクをとったものであります。おしるしとは印章のことで、身のまわりの調度品などに、区別するためにこのしるしをつけられたもので、古い時代からのしきたりとなっています。(入江相政著・宮中歳時記より謹載)

第六十二回、神宮・式年遷宮諸祭について

来る平成二十五年、神宮(伊勢神宮)においては、二十年に一度の式年遷宮が執り行われます。この遷宮とは、新しい神殿を造り、神さまのお遷りをいただくことであり、これは二十年に一度と千三百年前に天武天皇が定められました。

なぜ二十年ごとか。最も古い建築が常にはじめのスタイルのままで、しかも苔むす姿ではなくいつの時代にも生き生きと存在する。そして二十年を区切りとして神様に若返っていただいて、フレッシュな御光、より力強い神のエネルギーをいただいて、より素晴らしい時代を祈るという世界に類例のない祭りが伊勢の式年遷宮であります。
なおその匠の技術の継承は二十年という期間に受け継がれていくものと考えられています。

さてその遷宮に先立ち、諸々のお祭りが行われます。少しずつですが照会してまいりましょう。

平成十七年 五月  山口祭(やまぐちさい)

遷宮のご用材を伐る御杣山(みそまやま)の山口に坐す神を祭り、伐採と搬出の安全を祈ります。五月二日に内宮・外宮で行われました。

平成十七年 五月  木本祭(このもとさい)

ご正殿の御床下(おんゆかした)奉建する心の御柱のご用材を伐採するにあたり、その木の本に坐す神を祭ります。山口祭の夜に行われました。

(伊和志津神社宮司への聞書き及び矢野憲一著・伊勢神宮参照)

今日よりスタートします【宮中歳時記】、一週間に2回程度のアップです。宮中行事や皇居の自然などを分かりやすく掲載する予定です。どうかお楽しみに(庵主)

2012年1月14日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・移りゆく季節 <標高255m>

【秋と冬の佇まい】


秋の昼下がり 君と語り合ったオープンカフェ


芝生も一面の雪の下 君の笑顔は春までおあずけ

Imagined by Jun

2012年1月13日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・大雪の朝 <標高254m>

【ピカソ風の爺っちゃん現れる】


『あんた 誰やのん?』

『ワイか? 名前はピカソ爺や お早うさん』

『ああ分かったは 雪の坊やのお爺さんやね』

『せや 宜しくな しゃあけんどよう降るやんけ』

『ほんまよう降りますね ピカソ爺さん風邪引かんようにね』

こんな会話を交わしながらボクは雪かきに汗だくです Jun

2012年1月12日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・大雪の朝 <標高253m>


2012.1.12 朝7:30 室内温度 17.9度 室外温度 -7.5度

昨日1日で70センチの雪が積もりました

今日は雪も一段落のようです 雪かきに追われる一日のスタート

でも雪に感謝です この雪が春からの農作業に水を与えてくれるのです

2012年1月11日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・今朝の一押し <標高252m>

【懐かしい旧車両】


 あれっ、この列車は・・・!?

ひょっとして 昭和初期にタイムスリップしたのかな?  車掌さんがやって来たぞ


『このたびは田園鐵道にご乗車有難うございます この列車はトンボ沢駅10時15分発:19時00分セミの木駅着の各駅停車です 途中窓から昆虫が飛び込んでまいります 捕まえられたお客様は車掌にお申し出下さい 昆虫缶バッチを差し上げます それでは発車いたします』

なんて夢のある列車が走らないかねえ〜                        Imagined by Jun


2012年1月10日火曜日

2012年1月9日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・今朝の一押し <標高250m>


久しぶりに雪がやんだ夜

北の夜空が赤く染まった

それはスキー場のナイター照明の灯りだ

やっとスキー客 観光客が戻ってきた喜びの一瞬だ



2012年1月8日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・今朝の一押し <標高249m>


鮫の歯のようなツララが夜の暗闇にまぎれて伸びていく

この館の主人は成長する子供を見るように目を細めている

                                                                            Presented by Jun




2012年1月7日土曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・今朝のポエム <標高248m>

【緑の紋章】




新しい紋章を授けられたイチヤカエデ

この【緑の紋章】は周りの木々には見られない

吹き付ける雪と 凍り付く樹皮

究極は凍裂の恐怖

木肌に刻まれた紋章

それは厳寒の森の中で生きている証である


2012年1月6日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高247m>

流一平氏北欧に飛ぶ

庵主先輩、その後の連絡が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。マドモアゼル・吉岡と温泉に入ったとき、なんと先生はこう言ったのですよ。『一平さん後ろを向いて、さあお背中にこのミネラル一杯の泥をお塗りいたしますわよ』先生は手の平にのせた泥を私の背中に貼り付けるようにしたのです。そしてゆっくりと手の平で背中全面に泥をひろげたようなわけで。温たかい背中と柔らかい先生の指でマッサージ効果抜群なのです。至福の時を体験した私はまるで天国にいるような気分でした。一応報告しておきます。ごめんなさい。

今ここレイキャヴィークは、日の出が朝の3時、そして日の入りが夜中12時頃となります。いわゆる白夜なのです。今回の先生とのブルーラグーンへの小旅行は、お昼の間でしたが、ここはやはり夜訪れる場所なのです。

幻想的な広大な自然の浴槽に入って、夜空を眺め、時として夢にまで見たあの神秘なオーロラを見ることも出来るのです。その魅惑の宵にマドモアゼル・吉岡と肩を並べて語り合い、北欧の歌「オーロラに奏でる愛」など口ずさむ。これ以上の幸せがあるでしょうか?

今回は残念ながら、その夢は叶いませんでした。先生とは明くる日、ホテルでお別れして私はその足で今回のアイスランド訪問の仕事の一環として、レイキャヴィークの市役所を訪ねました。先日もお知らせしましたが、今回の北欧の旅の目的は、日本のある会社のレイキャヴィークに於ける和風ホテルの建設の下調べなのです。

ここは美味しい魚はふんだんに食べる事が出来ます。温泉もここ彼処に湧いています。人口が少ないので、ゆっくりと何事も楽しむことが出来るのです。オーロラ、白夜、そしてゲイシール間欠泉、ストロックル間欠泉などの雄壮な眺め、氷河、グトルフォス(黄金の滝)などスケールの違った自然に直接触れる事が出来るのです。

きっと日本の裕福な老夫婦などにとって、まさに人生の最高の思い出となって残ることでしょう。是非実現させたく、その立地条件に合う場所を探すのが私の任務であるのですよ。
そのような訳でまず最初に市役所の観光課に挨拶に出掛けてきた次第です。

今回の『流一平の出先からごめんなさい』は、これで一端終わりです。日本に帰り次第、妙高高原の庵主先輩のヒュッテをお訪ねしたく思っています。詳しくはその時、ご機嫌宜しゅうさようなら。

庵主よりの一言:どうやら一平とマドモアゼル・吉岡の「密会現場」を垣間見たような感じですな。あほらし屋の鐘が鳴る、ちゅうのはこんな事か・・・

2012年1月5日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高246m>

流一平氏北欧に飛ぶ

レイキャヴィーク発:2008.7.8 AM 9:00 

さて今日は、7月8日です。ホテルのロビーで先生の来られるのを待っています。これからブルーラグーンという大露天温泉に出掛けるのです。

アイスランドは国土の大半が氷河で覆われております。残りは溶岩台地と火山灰で出来た砂漠なのです。そんな寂寞とした風景の中に、あちこちで湯煙を上げて温泉が湧いています。

うまく国土の特徴を生かして、温度の高い所では地熱を利用して発電所が作られています。その周辺に住む人々はその温風を引き込んで野菜作りなどもしているのですよ。


庵主先輩、マドモアゼル・吉岡は果たして水着を持ってきているのでしょうか?若干心配であります。最近になって温泉施設は整って、今では大きなリゾート地になっています。昔は適当に水着に着替えて入浴する田舎の露天風呂スタイルだったっようですが・・・。

レイキャヴィークから車で約40分、ケプラヴィーク空港からならそう、15分くらいでしょうか。ホテルの人に聞いたところによると、その近くにあるスヴァルトセンギ地熱発電所の地下2000mにあるミネラルを豊富に含んだ地熱海水(240度)を汲み上げて、地熱発電を行っているそうです。その地熱や温水をアイスランド駐留米軍基地に提供し、その使用済みの70度になった熱水をこの人工池(5000平方m)に溜めたのがこのブルーラグーンだったのです。

到着した世界最大級の露天風呂はまさにその名に恥じない壮観さです。新築された温泉施設は素晴らしいものでした。立派な更衣室にはシャワーが完備されていました。そしてレストラン、土産品売り場まで出来ているのには驚きました。先生と分れて私は男性用の更衣室に入りました。時間はまだ朝の10時を過ぎた頃なので、客はほとんどいないようです。早速着替えを済ませて、ラグーンに出てみました。

なんとも広々とした一面ブルーの海のようです。小さな岩礁があって、湯気の中に先客がいました。薄ぼんやりとして男か女かもはっきりと判りません。ここのお湯は43°Cで管理されているので、西欧人にはちょっと熱いかも知れません。日本の温泉で慣れている私などはちょうど具合が良いのです。

少し風が出てきました。湯煙がベールを剥ぐように消えていきます。見え隠れしていました岩礁に座っている「人魚」のような姿は女性でした。目を凝らしてよく見ると、なんとマドモアゼル・吉岡ではありませんか。先生が私を見つけて手を振っているのが見えています。私はゆっくりとその岩礁の方向に歩いていきます。足が泥のようなものを踏みつけています。それがなんとも気持ちが良いのです。

『一平さん、遅かったじゃない、どうしてらしたの?』そう言って先生は足をお湯の中で交互に動かせています。その度に白くて美しい足がブルーのお湯の中で揺れています。なんと先生はビキニの水着を着ていたのです。まことに均整のとれたその肢体は、モデルにも負けない美しさでした。





2012年1月4日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高245m>

流一平氏北欧に飛ぶ

庵主先輩、私が今回アイスランドに来た目的の一つにこの温泉があるのです。今かかわっている温泉プロジェクトの海外バージョンの一つにアイスランドが候補地として上がっているのです。


ある大手のホテルチェーンのオーナーが、このアイスランドの地で温泉に入ってオーロラを眺められるホテルの構想を考えていて、その事前調査にやってきたという訳なのです。吉岡先生は、例のクマムシ研究で氷の中と沸騰する温泉にクマムシがどのように対応しているのかを、この地で研究しているアイスランド大学の先生方との交流に来られているのです。なお北欧5ヶ国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランド)が共同運営するNIAS(Nordic Institute of Asian Studies)(本部:デンマークコペンハーゲン大学アジア研究所内)にもこの後、立ち寄られるとのことです。

アイスランドは、氷と火山の国です。至るところに温泉が湧き、その温泉を活用し、地熱を利用して国家のプロジェクトが出来ています。ECO活動にも力を注いでいますよ。私と吉岡先生が宿泊していますホテル・レイキャヴィーク・セントラムのバスもお湯の蛇口から温泉が出るのです。レイキャヴィークの家々にも温泉が配給されているのです。

ここに来るまでにちょっと勉強してきたのですが、アイスランドの観光の主なものは、氷河、間欠泉、小型ナイヤガラの感じの滝、そして明日先生とご一緒する、ブルーラグーンなのです。

ラグーンとは珊瑚礁の意味です。だからどこかで海につながっているのかも知れませんが、よく分かりません。それだけ複雑な形状をしているのです。その露天風呂は五千平方メートル、直径160メートルの広さです。その大きな池(湖)全体がブルーなのです。皆さんがご存知の、北海道の摩周湖の湖面の色(
エメラルドグリーン)に少し似ているようです。





街のショーウインドーの中には美しい飾り物が Presented by Jun

2012年1月3日火曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高244m>

流一平氏北欧に飛ぶ

レイキャヴィーク発:2008.7.7 PM 9:00  Midnight-sun(白夜)


アイスランドに来て困ったと言おうか、驚いたことが一つあります。それは物価やタクシーを始めとする料金がものすごく高いという事でした。日本の東京並かひょっとするとそれ以上でしょうか。

ここの通貨は、アイスランドクローナです。為替レートは1クローナ=約1.4円(当時)です。夕食をホテルでとろうとして、注文したら8,600クローネの請求でした。ざっと12,000円ですか。特にどうって事のない料理でしたがね。

今夜のマドモアゼル吉岡はなんとも素敵なバッグを持っておられる。先程から気になって仕方がありません。『先生、今夜のバッグ素敵ですね。いつものとはまた違った・・・』。『一平さん、おわかりになる?嬉しい』。『でもそれって、なんだか伝統工芸のバッグのようですね、日本製でしょう?』。『そうよ、私のお友達でこのお仕事をしている方がいらっしゃってね、別註でお願いしていたのが先日出来上がったの、それで今日・・・』

その女性用バッグは、 (いんでん)といって、甲州、山梨県の誇る四百年の伝統を持つ貴重な文化財産だそうです。この名前の由来は、印度伝来を略して印伝となったと伝えられているのです。特徴は、柔らかくて強い鹿革に漆(ウルシ)で模様をつけていく、これが印伝技法のひとつだそうです。まずしっとり感と滑らかさ、そして強靭さを秘めた、これこそ『日本』を持っていると実感されるGoodsの一つだそうです。先生はフランスに生活されていて、多くのブランド物の超一流品は見たり、お持ちになったりしておられますが、そこはやはり日本人なのでしょう。

トラディショナル(伝統的)な逸品はしっかりとお持ちになられるようです。それにしても今テーブルの上にさりげなく置かれている「 」のバッグ、ウオーターカラー地に白色で細かいトンボの図柄。無数のトンボが乱舞している様を一つ一つ手描きで創り上げている。
そのバッグのまわりには、微かに日本の山々を駆け回っている野生の鹿の匂いがする。谷川の水音、木々の間をすり抜けて行く風の囁きすら聞こえてくるようです。

お隣のテーブルに腰掛けている老夫婦もそれを時々眺めてなにか話しています。細かい精巧な手仕事、匠の技に感じておられるようです。

今、夜の9時をまわりましたが、まだ空には明るさが残っています。先生と私は海岸縁のレストランに食事をとりに出かける事に致しました。

真っ白いパンタレオーネ、ネイビーシルクの風遭(かぜあい)のジャケット、そして水の上を乱舞するトンボたちをデザインした のバッグ。まるでタカラジェンヌが今レイキャヴィークに立っているような錯覚すら覚える今夜のマドモアゼル吉岡でありました。

『先生、明日のご予定は?』と私は海に話しかけるように先生に聞いてみました。それほど彼女はこの海浜レストランによくとけ込んでおられるのです。『一平さん、どこか連れて行って下さる?』『そりゃ、もちろん。どこがいいですか?』『せっかくのアイスランドじゃない、温泉がいいわ』。『温泉ですか、では海のような露天風呂は如何でしょうか?』『海のような・・か、行ってみたいわ』

『じゃあ、明日行ってみましょう。そこはブルーラグーンという温泉です。とっても広い、世界でも有数の大きな露天風呂とでも言いましょうか』。『それ、男女混浴です・・・か・・?』。『もちろんそうですよ、でもご心配には及びません。そこは水着を着て入る温泉ですよ』。マドモアゼル・吉岡は、にっこりとはにかむように笑ったのです。

先生は少しお酒が入って、目鼻立ちの整った顔に赤みがさしています。明日の時間を打ち合わせた二人は先程のホテル・レイキャヴィーク・セントラムに戻ってきていました。今夜はここが宿泊場所なのです。まだ外は少し残照が漂っています。明日の先生との温泉行が楽しみな流一平です。