2012年6月27日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高385m>


アマン・ガマン・ゲロッポのお話 35

アマンとガマンの子ども達は、ホタルが夕方に水辺を飛ぶ頃まで、大きな岩の家で綺麗な水の中にユラユラと揺れていました。それはまるで揺りかごに眠っている赤ちゃんのようでした。


そんなある日の事、山の上を真っ黒い雲がおおい始めました。そしてその暗い空の上から、ものすごい光が落ちてきたのです。ガラガラガラと大きな音がしました。アマンとガマンは岩の穴の中で小さくなってじっとしていました。

そのカミナリは、山から山へ、空から谷へと走り回りました。沢山の雨を降らせながら、ようやくのこと、その稲光(いなびかり)とすごい音は遠くの方に去って行ったのです。

それからしばらくして、大きな美しい虹が山の上に谷川をまたいでかかりました。アマンもガマンもこんなに大きな虹を見たのは初めてでした。その虹の光の中で、アマンたちの子供は足が生えてきたのです。そして虹が消えてしまう頃、その岩の穴の家から一つ、また一つと外に出て行ったのです。

そしてしばらく川の流れの中にただよいながら、やがて遠い独りぽっちの旅に出たのです。こうしてアマンとガマンの子ども達は、優しかったお母さんアマガエルのもとから離れて、やがてお兄さん、お姉さんアマガエルになって行くのです。それはアマンやガマンが経験(けいけん)した事と同じことだったのです。

アマンとガマンは6月の梅雨の晴れ間に、イモリの奥ちゃんのすんでいる果樹園の池にでかけました。と言うのもこの前、アマンに赤ちゃんが誕生した時、奥ちゃんは蜜蜂のブンブンにお願いして、甘いリンゴの蜂蜜を届けてくれたのです。

今日はそのお礼に、奥ちゃんの大好物のミミズを持ってやってきたのです。森の大きな樅の木に住んでいる野ウサギのホロップさんも途中で誘いました。ホロップさんは、早速アマンとガマン君をお背中に乗せて、ピョン、ピョンと飛ぶようにして奥ちゃんのいる淳爺の果樹園にやってきました。

リンゴの木には綺麗な花が咲いていました。水辺にはまだ水芭蕉の花も風に揺れながら太陽の光を一杯に浴びて笑っています。リンゴの木に混じって、いくつかのサクランボのなる桜の木がありました。

うす桃色の大きな実が沢山なっているのが見えています。イモリの奥ちゃんは池のリリーパッドに寝っ転がって、日向ぼっこをしている最中でした。

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