2013年12月4日水曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・オペラ「白狐」を観劇して思う <標高 814 m >



妙高市文化ホール開館30周年記念の催しとして、市を上げて取り組んで来た、岡倉覚三(天心)原作、翻訳・台本・作曲/指揮 平井秀明 オペラ『白狐』が、121日(日)午後2時より妙高市文化ホールにて、満員の観客の見守る中、東京アカデミック管弦楽団の演奏をもって、世界初演の幕を上げた。

公益財団法人 妙高文化振興事業団 理事長 入村 俊幸氏もご挨拶に述べられているように、今回の記念行事は、『市民の手による芸術文化活動の推進』であり、今日の音楽界、演劇界を代表する先生方のご指導と出演を得て、白狐合唱団、こぎつね合唱団、 成人男女・児童合わせて70名出演の「市民参加型」の一大事業でありました。

さて今回の岡倉覚三(天心)の創作したオペラ「白狐」は、1913年(大正2年)にアメリカはボストンにて執筆されたものであります。それも全て英語にて書かれており、当時オペラの作曲者もドイツ出身、アメリカの音楽家チャールズ・マーテン・レフラーに依頼するも、レフラーの作曲が進まず、残念ながら実現はしなかったのである。

岡倉覚三(天心)生誕150年、没後100年の記念すべき年に、天心がこよなく愛した妙高赤倉にほど近い、新井にある妙高市文化ホールで上演出来たことは、まことに不思議な縁であると言わねばなるまい。

指揮者を務めた平井秀明氏も話されているように『最後は泣きそうになりました。迫真の歌唱、演技、たくさんの稽古。岡倉天心の夢が100年かかって叶ったことに感無量です。これを妙高の財産として、世界に発信していきたい』と。ボクもこのオペラ「白狐」を観賞して、古き大坂の信太の森の狐伝説(葛の葉伝説)が、こんなに素晴らしいオペラに生まれ変わったことにまず感動しました。

2007111日付けのブログ「日々雑感」に、大阪の和泉に住んでおられる作曲家がこのように書いておられました。『昭和62年、213日の毎日新聞に連載された歌枕シリーズの一つに、葛の葉伝説が取りあげられた。私はともすれば、忘れられがちなロマンあふれる民話に今一度、現代人の目と心をもって、見直すことが、我々の心をリフレッシュし、豊かにすることへの一助になると、かねがね考えてきた。葛の葉伝説、私はこの作品を地元いずみ市民の手によって歌ってもらい、育ててもらいたいものだと考えた。その昔から和泉を有名にしたこの信太の森伝説をいつまでも語り伝えていくのは、やはり地元の力だ。そのために、和泉に生まれ、育ち、生活し、文化を守り育てる事に、尽力されている方に、会いたいと強く望んだ私は、市の有力者に、紹介を受けた。

新聞社の論説委員が紡ぎ出したこの物語は、私の心に、曲を紡ぎ出した。さらにそれは、地元和泉の皆さんの協力によって合唱曲として、歌われる事になった。葛の葉伝説は、時間空間を越えて、多くの人たちの心の輪を広げることになった。さらに、それが、郷土和泉の文化に、一点の花を飾ることにでもなれば、私は作曲家冥利に尽きると、思っている。』このようにして、妙高市のみならず大阪の和泉市においてもこの物語は音楽文化の一翼を担っていたのである。



今回のオペラ「白狐」には、妙高山麓男声合唱団より5名の男性が、また妙高高原混声合唱団より2名の女性がその舞台に立った。仲間・同志にその労をねぎらい心から感謝申し上げたい。

2 件のコメント:

  1.  出演した私にも本当に良い演奏会でした。これを庵主様が適切な表現で書いていただいてありがとうございます。

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  2. 小川 洋帆 様

    お早うございます。半年間の長きにわたり、厳しい練習に打ち込まれ、夏の暑い日も乗り越えて今回雪を被る妙高山の見守る中で、オペラ「白狐」を歌い上げ演じられましたこと、まことに感動致しました。

    今後とも宜しくお願い致します。お疲れの出ませんよう。

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