2014年10月24日金曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・【男達の黄昏・・そして今(1)】(標高 1002 m)




【男達の黄昏・・そして今(1)】

 いよいよ団塊の世代が、第二の人生を開始する時代になってきた。昭和22年〜24年の間に生を受けた方々が700万人ほどおられる。今までの日本の経済を支え、発展を担ってきた男女である。そして間もなく定年退職を迎える人達であります。

 彼らの内、半数近くはそのまま嘱託や雇用延長の中で働く場を得られる事でしょう。しかしそれとても給料は従来よりも大幅にダウンするのは必至。ただし仕事に関する責任はほとんど今までと変わらない。そのような条件下で、これ迄同様仕事を続けていけるかどうかは、はなはだ疑問である。いずれにしても、ハローワークや社会保険事務所などに定年退職をされた方々が溢れ、皆さんにイライラがつのり、新たなストレスが加わる事は目に見えているでしょう。

 とは言え彼らの資産はなんと130兆円規模。これからの日本の経済に大きな影響力を持つのは言うまでもないのです。それらに照準を合わせた各業界の動きも活発になって来ている昨今であります。私はこれから、そういった環境の中でとりわけ“男性達”の生き方の有り様についての物語を書いてみたいと思って筆をとったのであります。

 世間で人口に膾炙している事として『熟年離婚』というのがあります。この経緯はこうです。まあ男は自宅から会社に出勤しようが、単身赴任で家を離れていようが、奥さんにすれば日中、主人がいないのには変わりがない。長年そのリズムで生活をしてきているのです。それはある面自由な生活でもあります。習い事に行くも良し。フィットネスクラブに通うのも自由。時には仲のいい友人を招いて、ランチ、テイータイムを楽しむのもオーケーである。

 毎月決まった日に、お給料が振り込まれてくる。その中からご主人に小遣いを渡せば、後はある程度の自由がきくのです。ところがである。ここに長年サラリーマンとして会社勤務をしていた主人が、60歳の定年退職を迎える事になった。本来なら目出度い事であるります。まことにご苦労様でしたと、その主人の働きに感謝し、あとは貴方の思いのままに生活なさって下さいな、であってもなんの不思議もない。

 またところがである。奥さんの胸の内と言おうか、腹の底と表現しようか、それはそんなにシンプルなものではないはずです。まず長年の生活のリズムが崩れるのです。ましてまだ子供が家にいて、学校に通っているとすれば、子供たちのリズムも大きく変化する。朝起きて、夜休むまで今までとは違った生活様式にならざるを得ない。三度の食事を拵えなければならない。常に主人が家に居る事の心の負担。ストレスが溜まる。なにも手伝ってくれない男に対する不平不満と苛立ちもつのる。このような家庭は、私自身も含めてけっこうあるのではと思っているのです。

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(この物語は平成20年に書いたものです。すべてフィクションであります)

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