2013年2月14日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・ジャズパブ維摩 24 <標高549m>


株屋の浜ちゃんと、新谷暁子さんことあきちゃんの結婚話も序々にではあるが進んでいるようでありました。この秋に三宮の生田神社で式を挙げようという計画らしい。仲人さんに『庵主様』をとお願いしているようだが、庵主様はここのところ忙しいらしくまだご返事は頂けていない。

あきちゃんのお兄さんは今、小さな割烹料理のお店を開く準備をしている。場所は神戸から宝塚方面へ電車で1時間ほどの阪急沿線、清荒神の近くらしい。庵主様の家作の一つが、たまたま空いたので、手入れをするらしいのだ。

お店の名前は、みちのく割烹『気仙沼』。彼の地元の漁師仲間や学校時代の友人から気仙沼の魚や名産を取り寄せるとの事。新在家甲六師匠など、今から大層楽しみにしているようだ。

新谷誠さんこと、まこっちゃんは、みちのく割烹のケルン酒(メインのお酒)に池田の銘酒『呉春』を置きたいらしい。私がその口ききをする事にした。お店は当面あきちゃんがお手伝いをする。開店は12月の初め、大安を予定しているとのまこっちゃん”からの話でありました。その頃は、浜ちゃんと、あきちゃんの新所帯もきっとスタートしていることでしょう。

お盆が過ぎて、神戸の下町では『地蔵盆』が始まろうとしていた。あちこちの街の角にお祀りしているお地蔵様に綺麗なお飾りをして、提灯を引き回して夕方から灯りを入れる。子供達が学校から帰ってきたら、めいめい袋を持って街のお地蔵様を訪ねてまわる。

大人達は、その袋にお供えのお下がりのお菓子を入れてやる。地蔵菩薩は元来インドでは、女性と子供を護る仏様でありました。神戸の街に地蔵盆が始まると、季節はそろそろ秋に衣替え。今まで海から吹いていた風が、六甲山や再度山、摩耶山から吹いてくるようになる。 川に群れていたユリカモメも少しずついなくなってしまう。それでもまだ残暑の陽はきつい。陽が落ちてビルの谷間に夕闇が迫る頃、旧居留地海岸通り、煉瓦路西入る『ジャズパブ 維摩』にも灯りが点って、今夜も近くの会社帰りのサラリーマンや、常連の面々が集まってくるのです。

ジャモウとランジェがドアーの前にちょこんと座っている。庵主様が『おお、まるで神社の狛犬、いやいや狛猫のようだ』と言って笑いながら入って来られた。ジャロメナイス(ジャモウ語で、この人大好き)と言ったのを、庵主様は背中で聞いている。ランジェの背に夕暮れの残照が美しい。

『いっしゅはん、この前ほら、・・・なんちゅうたかねえ。あの・・・』庵主様にも加齢から来る物忘れが・・・・。『ほら、あのではわからんですよ、ひょっとして宇野さんの事?』『そうそう、その宇野さん、いや芹沢さんが正しいのか?いつ来られるんじゃ?』。『お気に止めて頂いて有り難うございます。10月の89日だそうです』『ああ、そういやあ連休だな。ところでその信二さんとやらは松山でなにをなさっておいでか?』『手紙によると、農業とか』。

『でも思い切ったものじゃな。自分から養子にと・・』『そうそう、なんでも今回の神戸旅行ではあの西宮市の甲山へ詣でるとか』『甲山へ?一体どうして』『なんでも二人の恩人ちゅうたら可笑しいが、甲山が恩山らしいんで・・??』。

さあ、信二と祇乃が初めて出会った秋田十和田の『十和利山、迷ヶ平』と見えない糸で繋がっている兵庫六甲山系『甲山』。またこの不思議なお話を携えて、信二と祇乃は晩秋の『新婚の旅』に出るらしいのです。



眼下にひろがる西宮市と甲山 By Jun




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