2012年4月8日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ ・言葉のアーカイブス <標高322m>

アマン・ガマン・ゲロッポのお話 10

もう夜はずいぶんおそくなっていました。さきほどまで見えていたお月さまも山のほうに隠れてしまい、かわりにお星さまが沢山見えています。そろそろアマンは眠くなってきました。

朝から今まで生まれて初めての体験の連続でした。今夜はゲロッポ小父さんが蕎麦(そば)がらの寝床を用意してくれました。

『さあ、アマンもガマンもゆっくりおやすみ』そう言ってゲロッポさんは、芹(せり)の寝床の方に行ってしまいました。

アマンは蕎麦がらの寝床にうずくまりました。ガマンがそっと横にきて暖めてくれました。もうアマンは小さな寝息をたてています。ガマンはこれでも男の子、今夜はアマンを守らねばと考えていました。

アマンはそんな事も知らず、夢を見ていました。そこに出てきたのは優しいお母さんの姿でした。お母さんはそっとアマンに言いました。

『アマンや、お前は幸せだね。ゲロッポさんやガマン君、それにホロップさんまでお友達になれて。アマン、みんなに可愛がられるのだよ。それにはね、みんなに優しく、感謝する事だよ』そう言うとお母さんはす〜っと消えてしまいました。

アマンの目にあふれた涙がポロリとこぼれました。ガマンはその涙をそっと舌ですくい取ったのです。それはとってもいいスミレの花の香りがしました。

ガマンは大きくなってからも、その時のアマンの涙をいつまでも忘れなかったのでした。


Presented by Jun

ニホンスミレ アマンちゃんの涙の香りがしますよ




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