2012年4月30日月曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高337m>


アマン・ガマン・ゲロッポのお話 17

ガマン君は水の底から探してきた、ひすい玉の内、三つをレンボリックさんのヒナちゃん達にプレゼントしました。カルガモのお母さんは、『私によく似合うわ』なんて言っています。


そしてもう一つをイモリの奥ちゃんに。残りの一つをアマンちゃんに渡しました。アマンがもらったひすい玉はとっても珍しいものでした。そこには「キャッツアイ」と呼ばれる猫の目の模様が入っていました。ほら皆さんも見た事があるでしょう。細いお米粒のような形をした、猫の瞳(ひとみ)を。

その「キャッツアイ」をなんとアマンはお口の中に入れました。ガマン君が、『アマン、それ食べ物じゃないぞ』と言っています。アマンは平気な様子でしばらくモグモグしていましたが、ガマン君と奥ちゃんの方を向いて言いました。

『私のお口の中にある、秘密のお部屋にかくしたのよ』『秘密のお部屋?』ガマン君も奥ちゃんも驚いて言いました。『そうよ、リスさんと同じ袋があるの。秘密の秘密のお・へ・や』『へ〜え、知らなかったな。ぼくにはそんなもの無いもの』ガマン君は少しふくれて言いました。

イモリの奥ちゃんは、手にしっかりとひすい玉を握って泳いでいます。周りはそろそろお日様が、山の陰に隠れてしまう夕方でした。

『じゃあ、僕たちも帰ろうか?奥ちゃん、またね』『アマン、きっとリンゴ園に行くからね』『ああ、待っているよ』そう言ってバイカモの揺れる小川にサヨナラをしました。

レンボリックさんのヒナちゃん達もお父さんの方に泳いで行くのが見えています。お母さんレンボリックさんは嬉しそうにお首の上にひすい玉をのせて泳いでいました。

『アマン、これからどうする?』とガマン君が心配そうに聞いています。『アマン、今夜もガマン君の石のお部屋に泊めてもらおっと!』『ええっ!良いのかい?ぼ、ぼくは良いけどさ』『ガマン君、私もうどこにも帰れない。あの大きなブナの木、怖い青大将が私を食べに来るんだもの』

二匹のアマガエルはピョコピョコと、もときた道を引き返して行きます。山の端に隠れる寸前の太陽さんが、二つの影を優しく照らしています。お空にはもう一番星が輝き出しました。



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