2012年12月20日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・ジャズパブ維摩 13 <標高517m>


辰兄い主催の『初春維摩の会』も、 いつものメンバーが集まってそれは楽しい新年会でありました。ジャモウもこの日ばかりは、辰兄いを嫌うことなく、喉をゴロゴロ言わせながらも辰兄いに寄って行ったものでした。

じつは、このゴロゴロ、本当はジャモウの機嫌の悪い時のパフォーマンスである事は辰兄いは知らない。なものですから猫なで声であやしたりして・・・・。

一月も半ばになって、ここ神戸の地にもいよいよ本格的な寒波が押し寄せていました。そんなある日、午後から庵主様と疾風真麻さんが入ってきた。なにやら本のような物を持っている。どうやら去年から庵主様にお願いしていたハヤマさんのミュージカルの大筋の脚本が出来たらしい。

なんだか、大がかりな内容らしかった。二人の話をそれとなく聞いていて子供だましではないことは確かであった。昭和の初期の神戸を舞台にした恋物語らしい。外国航路の船員と、港神戸のカフエーの女給のお話とか。いやはや庵主様はまだお若い。今の今まで本当にお一人なんだろうか?

そんな日があって、一月も終わりに近づいていた。新在家甲六さんが神戸の新開地の寄席に出るとの事で、『維摩』の常連が応援に出かけていった。甲六さんなかなか良い噺をしたらしい。古典をしっかりと勉強しているのが、若手に似合わず立派だとの庵主様の後評でありました。いずれ一人前の噺家になる日も近いだろうとの神戸雀たちの評判でした。

自称「株式請負人」の浜ちゃんは、その後とんと姿を見せていない。そう言えば「雪女」の噂もきかなくなって久しい。我が店の御曹司、ジャモウは相も変わらず『ニート』状態である。

ネズミは今まで一匹も捕まえた事はない。ところが犬に対しては滅法強いのである。先日も少し暖かい日、勝手に外に出かけて行った。私が探しに出たとき向こうの辻から人間ほどもある、真っ黒いドーベルマンが散歩で煉瓦路に入って来た。

その時どこから現れたのか、ジャモウがヒョイと猛犬の鼻面に降り立った。どこか近くの屋根にでも登って昼寝でもしていたのだろう。突然目の前にロングヘアーモジャモジャのネコが飛び降りてきたのでその犬は後ずさりをした。

その後猛然とジャモウに向かって吠え始めた。飼い主はネコだとバカにしたように、けしかけている。その時ジャモウは地面を一蹴りするや一気にドーベルマンの背中に飛び乗ったのであった。びっくりしたのはその飼い主と、私の二人であった。

ドーベルマンは背中のネコを振り落とそうと必死に体をねじったり、立ったりするのだがジャモウはしっかり掴まってまるでロデオに乗ったカウボーイの様なものである。とうとう猛犬がじれて、鎮まった時を見計らって、ジャモウはさっと又元の大屋根に飛び移ったのである。

それはまるで、調教されたサーカスの演技のようであった。この話はこの後、『維摩』のお客さんの間で何かあると話題になった。ジャモウを見に通りがかりの初めての客が入ってくる事もあった。

だれが言ったのか、サーカスネコがいるとの噂が拡がりなんと二月には、地元の新聞社から取材に来る始末であった。ジャモウはその度に大好物のビーフジャーキーにありつけて、ジャロメ・ジャーキーナイス(ジャモウ語でジャーキー大好き)なんである。

二月の一番寒い季節、この『ジャズパブ維摩』は、ここら関西で言うニッパチの閑な月でありました。それだけに常連さんはゆっくりとジャズに耳を傾け、疲れた心と体を癒しておられたようで。



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