2012年5月13日日曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・言葉のアーカイブス <標高346m>


アマン・ガマン・ゲロッポのお話 22

『こんにちは。ボクこの上に棲んでいるフクロウのツバサです。よろしく』と大きな目と曲がったクチバシを動かして話します。

『わたしはアマガエルのアマン』『ボクは水中アマガエルのガマンです』『はじめまして』。と二匹のアマガエルは声をそろえて一緒に言いました。
『ツバサ君、ほらゲロッポ小父さん知ってるだろう。一度美味しいお蕎麦(そば)の粉を食べさせてもらった』『ウンおぼえてるよ』。

『この可愛いアマガエルさんたちと、あそこで友達になったんだ。ツバサ君も仲良くしてね』『こちらこそ、お友達にしてね』。そう言ってツバサ君はお部屋一杯に翼(つばさ)を広げて見せました。

白や黒、そして灰色の羽根がとっても暖かそうです。首のまわりと目の縁は金色の毛が生えています。アマンはなんだか、うっとりと見とれていました。そばでガマン君がちょっと拗(す)ねた素振りをしたのが面白かったのか、ホロップさんがファルファルファルと笑いました。

その時隣の部屋からお母さんウサギのミドリーヌさんがなにか手に美味しそうな物をもって入って来ました。右手にはツバサ君が大好きな、胡桃(クルミ)。左手にはアマンやガマンが喜びそうな、白樺の木のシロップ(注:1)だったのです。

『ようこそ、ツバサ君。アマガエルさんたちも、ほら美味しいよ、どうぞお食べ』そう言ってミドリーヌさんは、柔らかい草の上にそれをそっと置きました。

ホロップさんが、クルミを一つツバサ君に渡しました。大きな目をクリクリさせてそのクルミをオレンジ色のクチバシで咬むと、がりっと音がして中から白い実が出てきました。アマンは小さな目を精一杯見開いてその様子を見ていました。

『アマンちゃん、食べる?』とツバサ君が白いクルミの実をくれました。おおきな羽根がアマンの身体を包み込むように広げられています。アマンは生まれてはじめて鳥にふれたのでした。柔らかい毛がとっても暖かで木の葉のにおいがしました。

勉強の部屋:白樺(しらかば)の木のシロップ

白樺の木は海外ではナース・ログとも呼ばれています。森の看護婦(かんごふ)と言った意味です。それくらい人間に役立ってくれる樹液(じゅえき)があるのですよ。まだ雪が残っている春先に、白樺の幹に穴をあけて、流れ落ちる樹液を容器にためるのです。この白樺シロップは、ほんのり甘みがあって豊富なミネラルや、皆さんが食べるガムにも入っているキシリトールなどの成分が含まれているのです。

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