2014年11月20日木曜日

酔花 風酔 自然法爾のおきどころ・【男達の黄昏・・そして今(9)】(標高 1021 m)


【男達の黄昏・・そして今(9)】


 次回の打ち合わせには、先生も入ってもらおうと言う事にして取りあえず今回の地取り調査は5人で始めることにしました。まず夕陽丘5丁目にターゲットを絞り込んでのスタートです。事前に周さんが作った、5丁目の住宅地図が全員に配られました。いままでに被害にあっている家が赤丸で囲まれています。それは一見して変哲のない印の様に見えました。それぞれじっくりと眺めては、ため息をついていたその時、周さんがみんなにこう言ったのであります。

『皆さん、ちょっとこの地図、変だと思いませんか?』『変?なんの変わりもない地図じゃけんど』と哲じいが眼鏡を上げて答える。『そう言われてみればこの赤マーク、一つの文字を表している様にもみえますな』と徳さん。

『分かりましたか、そうなんですよ。ほらこの左の一番上の丸印、ここは五丁目の西の端、小学校のある辺りです』と周さんが指をさす。『となると、この右下の丸印は五丁目の東の端、スーパーのある近所ですか・・・』と沼さんも納得。

同じように北の端、夕陽丘六丁目との境、桜並木通り。そして南の端はゴルフ場との境、深泥が池の水神様の祠のある所に近い。これらの赤丸を結べばあるアルファベットの文字になると言うのが周さんの説明でした。

『ほら、こうでしょ。どうです? Xと言う文字になるでしょう!』『ほんまや!まさにXやで』と沼さん。『まあ、途中ちょっと曲がったりして完全なXでは無いがこれは一つのヒントになるね』。さすが、あの複雑な競馬の展開を読む能力の成せる技でありましょうか? 仲間の黄昏斑は感心しきり。『ほなら、この泥棒はこの仕事をするのに謎を残していたということか?』と哲じい。『まあ、まあ、余り深く考えないように。偶然かも知れないじゃん』と周さんが皆をなだめる。まるで馬を落ち着かせるあの『ドウドウドウ』と言った感じでした。

『ちょっと質問!』と言ったのは、寿司屋の鶴さん。『仮にこのX文字が犯人が意識的に残したものだと仮定してでっせ、このXの交わる家は誰の家でんねん?』『ちょっと待って下さいよ、ここは15-2番地やから、あら!リチャード先生のお家ですなあ』と周さん。『ええ〜〜!先生とこ?』とみんな驚きの声をあげた。『ひょっとして犯人は次の仕事を、この交差したその家を狙おうと考えているのかも・・・』と鶴さんが訳しり顔で言った。


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